二人が吸血鬼になっていろいろ
あるくだらない1日の始まり、窓から差し込む陽の光にぱちりと目を醒まして、ふと自分を振り返る。
あの日突然吸血鬼になったわけだけど、そんなに変わらない生活を送っているつもり。
変わったのは時間の流れが物凄く早く感じるのと、喉が乾くってことくらい。
ヒュウ、喉から乾いた音がする。
この変化だけはちょっと困る、いくら喉が乾いてたって知らない人間の血を啜るのは気が引けるから。
がり、と指を噛みきって自分の血を啜る。
満たされないけど、気休め程度には潤う。
あーあ、なんて溜息を吐いて1日の始まりを飲み込んだ。
身支度をして、愛する彼に会いに行く。
彼は俺と違ってそこらの女の血を飲んで、もうすっかり"吸血鬼"。
「りーりーりーちゃん!」
勢いよく彼の部屋のドアを開けるとまだぐっすりと眠っていて、目を覚ます気配はない。
寝顔を見てやろう、なんて軽い気持ちで近寄ったら血の匂いがした。
知らない匂い。
昨日にでも吸った相手のだろう。
そう思うとなんだか、嫌な気持ちがして思わずキスをした。
唇を舌で舐める。
ちょっぴり知らない味がして、やっぱり嫌な気持ち。
「りりりちゃんのばーか」
なんて理不尽な文句を呟いた。