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チョコキス
2月14日バレンタイン。
恋人同士の特別な日。
街じゃカップルが幸せな雰囲気を醸し出している。
斯く言う俺も、大好きな恋人と2人きりなわけだが。
同性同士、外へ行ってデートしようにも周りの目があるわけで、結果所謂"おうちデート"ということだ。
別に構わない。
2人で過ごすのんびりした、この時間が好きだから。
まあけど、折角のバレンタイン。
ちゃんとそれらしいことをしようか
2人で食べようって買ったちょっと高価なチョコレート、空いたその箱を横目に
「りりりちゃん」
隣に座る彼に甘く低い声で囁く
何?って顔の彼にくすっ、と笑ってチョコレートを一粒、口に咥えた。
これで、わかるでしょ?
なんて顔で咥えた甘い粒を相手の唇に押し当てようとする、けどその前に食べられた。
俺の唇ごと、チョコレートを逆から咥えて、それから絡まる舌。
相手の唇を、歯を、舌を舐めて、甘くとろける。
息が荒んでチョコレートの味もしなくなったら唇を離して
「もう一回」
どっちが先に言ったのだろう。
まあ、どうでも良いか、なんて思ったらまた甘い味。
眩暈がするほど甘いキスを、いつまでも。