第1話終わりの日の始まり1
生まれたものには必ず終わりが来る。永遠なんてこの世の中には存在しない。だから、何もかもいつか消えて無くなる。僕の存在も、この家も、この場所も、この国も、この地球も、そしてこの宇宙も。
「君が悪いんだよ」
「君が生まれてきたから何もかもが無くなった」
「だから君は償わなくちゃいけない」
「これから永遠の苦しみを味わって」
「いつまでも、終わりなく、苦しみ続けなくちゃいけない」
「君が奪ったものは数え切れない、何億、何兆、もっともっと、命、歴史、物、星、時間、全てを君が奪ったんだよ」
「今日、世界は壊れる」
「君の20歳の誕生日に」
「でも、君だけは生き残る」
「だって君は死なないから、君は永遠の命を手に入れるのだから」
「っうわっ‼︎」
「なんだ、夢か・・・」
いつも通りの自分の部屋、なんの変哲も無い家賃月3万のボロアパート、朝五時ごろ、まだ日は登っていない、薄暗い、狭い部屋、自分、無造作に置かれた雑誌の山、まだ中身が半分ほどある空きカン、閉じられたノートパソコン、エトセトラ。
静かな空間に心臓の音が響く。
どく どく どく どく
徐々に音は小さく、穏やかになった。
落ち着いたところで起き上がり、洗面所へ行き、蛇口をひねった。もう眠れそうにないから冷たい水で顔を洗う。鏡を見るとそこには
まだ少し眠そうな顔をした自分がいた。紛れもなく自分自身だった。意味もなくテレビをつけ、無駄にテンションの高い朝のワイドショーを見る。でも、見ているだけで何も頭に入ってこない。さっきの夢が気なる。まだ頭の中に響いてくる。少女の声、「君が悪いんだよ」今までに聞いたことのない声だ。でも妙に懐かしくすんなりと受け入れられるような声。でもまだあどけなさが残る声には、大人びたような雰囲気もあった。そして告げられる言葉。訳がわからなかった、「なんなんだ、俺が悪い?いったい俺が何をしたっていうんだ。世界を壊す?俺が?ただのニートがそんなことできないし、まず今日1日で世界は壊れるほどやわじゃない。」気にしないでいいだろうと決め、考えるのをやめた。
まだバイトの時間まで時間があったので気分転換に朝食を買いにコンビニに行くことにした。
朝日が少し顔を出し、明るくなった街には、肌寒い風が吹いていた。コンビニは川の反対にあるので川の土手を歩いていると。何人かのランニングや犬の散歩をしている人がいるその中に一人、制服を着た女子高生が何も持たず歩いていた。その制服はここら辺で有名なお嬢様学校の制服でこんな時間にこんな場所にいるのは珍しいのですれ違う人はまじまじと見るが何も言わず通り過ぎていった。家出かなんかだろうと思いながら、女子高生とすれ違う時。
「君が悪いんだよ」
風に書きされてしまいそなほど小さな声で、ぼそりと呟くように、女子高生は、夢に出てきたあの声で。まさかと思いながらも、おそるおそる女子高生を見ると悲しそうな顔をしながら、今度はちゃんと聞こえるように、「君のせいで何もかもが壊れちゃう」と言ってしまいには泣き出してしまった。
「お、俺がいったい何をしたっていうんだ」
つい強めに行ってしまった。はたから見るとこの状況は男が女子高生を泣かしているようにしか見えないようで、正義感のあるおじい様が「何をしている、女の子を泣かすなんて」と割り込んできた。これはまずいと思い、ひとまず女子高生をなだめて、正義感のあるおじい様に「大丈夫です、すいません」と言い放ち女子高生の手を握って逃げ出した。おじい様は「こらー」と怒っていたが無視してコンビニの方へ向かった。女子高生は抵抗せず普通についてきた。聞きたいことがたくさんあったから少し無理やり連れ出してしまったが、コンビニに着いた頃には女子高生は泣き止んで息を切らしていた。その時初めて女子高生の顔をまじまじ見たが、女子高生はまさにお嬢様という雰囲気を出して清楚な感じだった。顔を見ていると向こうも顔を合わせ
「何を見てるの?」
と赤くなった目を合わせて言ってきた
「ごめん、なんでもない。ところで一体なんなんだ」
「君は何も知らないの?」
「知らないよ、だから聞いているんじゃないか」
「そう、いいね君は、何も知らないなんて。君は何にも怯えなくていいし、気付いたら何もかもが壊れている、でもその後に耐え切れないほどの絶望が待っているかもね。」
「まったく訳がわかんない、お前は一体誰なんだ、あの夢はなんなんだ」
「話すと長くなるけど」
「わかったとりあえず俺の家に来い」
「なに、女子高生を家に連れ込んで何するの」
「外だと寒いし、こんな時間に空いてる店がこの辺にないからだ」
「それなら仕方がないね」
「その前に朝飯をコンビニで買うから待ってろ」
「うん、待ってる」