ギルド《金剛蓮華》
よろしく!
「オイ、そこの肉とってくれ」
「ハイハイ」
「僕にも」
「ハイハイ」
「私にはそっちのとって」
「これ?」
「それそれ」
「ハイハイ。タツヤは?」
「い、いえ……大丈夫です」
「あら、遠慮しなくても良いのよ?」
現在地、ギルド《金剛蓮華》事務所。
この世界のギルドは、数人のチームを幾つか持つグループ的な物らしい。
「それにしても、〔フェンリル〕が7匹だろ?ライセンス、最低でも三種の取得は必須だぞ」
そう言ってのは、がっちりとした体格の青年。このギルドのリリアのチームのリーダー、ゾゾだ。
「適性レベルSだと、第三種のDってところかな?」
今のは、同じくリリアのチームのウォック。
ライセンス。正式名称、チェッカーライセンスは、魔獣と戦う者に与えられる。そして、ライセンスには大きく分けて、第一種、第二種、第三種の三つがある。
第一種は、ライセンス取得時のランク。
第二種で、一人前。
第三種になると、ほとんどの人がギルドのリーダーだったり、有名なチームのメンバーだったりする。
そして、その中でも更にA~Eの五段階に別れているらしい。
因みに、ゾゾは第三種Eランクとのこと。
「魔術師か~。得意な属性は?」
聞いてきたのは、さっきから他三人に食べ物を配ってばかりで自分はなに一つ口にしていないセイラさんだ。
「えーっと……、どれもそこそこって感じです」
取り敢えず無難に答えておく。
「珍しいな。万能型か?」
「万能型で〔フェンリル〕と渡り合えるのか。僕の知ってる限りでいえば、万能型の人はどれかに特化した人よりも低ランクで止まってしまう傾向があるんだけど……」
「そうだ。オメーどうせ行く当てもないんだろ?だったらウチのギルド……チームにはいらねーか?」
おっ?
予想外の展開。確かにこの先の予定はなかったし、いいかもしれない。
だから俺は、
「いいな」
そう答えた。