村へ
俺がオオカミ達から助けた少女。
未だ思考回路が再起動出来ていないらしい。
「ねえ君」
「は、はいッ!」
少女はビクッと体を震わせて過剰に反応する。
「えーっと……俺、辰也ってんだけど……君、名前は?」
とりあえず、自己紹介。
「え……あ、わ、私は、ギルド《金剛蓮華》所属、チェッカーライセンス第二種ランクBのリリアです」
「ん?」
……ギルド?チェッカーライセンス?
ギルドだって!やったぜ!
それはひとまず置いといて、
「えー……、大丈夫?」
「ええ。助けてくれたのよね、ありがと」
ん?いや、俺あの時実は、「うわーっ、モンスターだ!本物だ!」なんてこと考えてたし?
「よっしゃ、初の魔法バトルだぜ!」状態だったし?
あんまりお礼とか言われても困る。
「は、はぁ……」
「あなた、どこから来たの?相当強そうだけどライセンスは?」
「うっ……あの~、ちょっと道に迷っていて……」
「はあ?」
今の受け答えは自分でもおかしいと思ったけど、どこから来たとかは言えないのだからしょうがない。
これこそ、異世界に来たばかりの人が誰でもぶつかる最初の壁!
そういえば、言葉の壁がないなー。
あと、ライセンスとかの意味はさっぱり分からん。
「まあいいわ。道に迷ったんでしょ?最寄りの村まで行きましょ。お礼もしたいし」
ありがたい事に、彼女からのそれ以上の追及はなかった。
「分かった」
そうして、俺とリリアは村に向かった。