表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限のナイトメア  作者: 高月望
五日目―眠り姫の夢
24/40

1-(2)


 学校に着き、自分の席に座る。早く学校に来てしまったということもあり、夢野さんはまだ来ていない。僕は少しがっかりしたが、仕方がないので待つことにした。夢野さんと話がしたいということしかその時は考えてなかった。待っていると続々とクラスメイトが教室に入ってくる。

 そこでやっと夢野さんが来た。僕は、彼女に話を聞きたくて後ろを振り向こうとした時、そこでやっと気付くこととなる。教室にいる生徒の数が、昨日に比べて極端に少ないことを。三分の二いるかいないかという具合である。これだけ欠席するのは、冬のインフルエンザぐらいだろう。僕は驚き、自分の席に再び座る。すると、女子生徒が数人話をしているのが聞こえてきた。

「ねぇ、今日休み多くない?」

「多いね。何か知ってる?風邪かな?風邪っていう季節じゃないけどね」

「ねぇねぇ、この休みってただの風邪とかじゃないんだって」

「どういうこと?」

「さっきちらっと聞いたんだけど、目が覚めないんだって、休んでいる人たち」

「はぁ?どういうこと?」

「起こしに行っても全然起きなくて、体ゆすっても起きないんだって。医者に見せたけど原因不明なんだってさ」

「なにそれ、怖くない?」

 ガタン!

 いっせいにクラス内の視線が集まる。僕は驚き、立ち上がってしまった。みんな何事かと僕を見つめる。

「すみません」

 僕は謝り、倒れたイスを直して席に座る。

 今の話はどういうことだ。目覚めない人が出ていると言ったが、それは悪夢のせいなのだろうか。僕はわけもわからず混乱する。その時、夢野さんが言った言葉を思い出す。『エネルギーを奪われて死んでしまう』まさしく、それが目覚めなくなっている人の状態なのだろうか。エネルギーを奪われすぎてしまったのか…そして思い出す、保健室で眠る目覚めない女子生徒たちを…

 すると硬い表情で龍臣がやってきた。

「想像以上にやばいぞ…」

 その言葉がすべてを物語っているようだった。確かにやばいとしか言いようがない状況ではある。

 さまざまなことを思案するが、答えは出るはずもない。僕は夢野さんが気になり、そちらのほうに目を向ける。夢野さんの表情はいつもより硬いような気がする。この状況をどう思っているのだろうか。そんな夢野さんはさっきから隣の川島君のほうをじっと見つめている。僕はその視線をいぶかしむが、分かるはずもなかった。

 そして、今更ながら僕は気付いてしまった、雨宮さんも休んでいることに……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ