2話
「リオン!私も、私もリオンと一緒に行くわ」
「ユマ姉さん!!」
リオンはユマを非難するが。
「脱走した奴隷がまた奴隷商に捕まったらどうなると思う?」
「あっ!?」
その事を知らないリオンではなかった。
「そう、リオンも奴隷商から聞いたでしょう?脱走奴隷は身体のどこかに焼き印を押すと。それが脱走を企てた奴隷の証だと。奴隷に自由になる資格は無いのよ。例え逃げ延びたとしても、この首輪が自分が奴隷だと証明してしまうのよ。だから、私もリオンと一緒に行くわ。そして、もし、私が殺されるのなら、リオンが良いわ」
「⋯⋯⋯」
リオンは悲しい表情を見せる。
「悲しまないで、私は死なないよ。可愛いリオンを遺して逝けないわよ」
ユマは笑顔でそう言った。
「……分かったよ。でも、ボクに近付かないで、骸骨がユマ姉さんを常に狙っているから……」
リオンは渋々承諾した。
「⋯⋯分かったわ。一定の距離を保つわ」
○●○
こうして、リオンとユマの逃亡が始まった。
逃亡中、何度も軍の襲撃に遭い、リオンは骸骨の力を使い、襲撃を撃退していく。
そして、骸骨が兵士達の性を喰らえば喰らうほど、リオンが、毒々しく妖艶な美しい姿になっていく。
ユマはリオンが変わってしまう姿を見て、人間性を喪っているではないかと感じていた。
確かにリオンの姿は美しい。だけど、人間としての表現が段々と乏しくなっていき、ユマに対しても、冷たい目で見つめる事が増えていきました。
「リオン⋯⋯。お願い……そんな瞳で私を見つめないで⋯⋯」
ユマの震える声も、今のリオンには届かない。
月光に照らされたリオンの横顔は、恐ろしいほどに整い、そして、恐ろしいほどに空っぽだった。
エマは、変わり果てていくリオンを、悲痛な表情で見つめることしかできなかった。
『クカカカカッ!』
骸骨は、上質な「性」を貪り喰らえたことが嬉しいのか。
それとも、無垢だった少年が「魔」へと堕ちていく様が愉快でたまらないのか。
感情を失った美少年の静寂を切り裂くように、ただ乾いた不気味な笑い声だけが、夜の寒空にどこまでも響き渡った。
リオンとユマの逃亡生活は数ヶ月もおよんだが、とうとう、リオンとユマは軍とギルド達に囲まれてしまい絶体絶命のピンチになった。
『囲め!!生け捕りにしろ!!』
『この悪魔め!!』
軍隊もギルド達も目が血走り、興奮状態だった。皆、リオンの容姿に興奮をしていた。
『クカカカカッ。大量の皿がやって来たぞ。お前たちのその性を俺に寄こせぇぇ!!』
骸骨が牙を剥く。骸骨の能力が発動した。
囲んでいた、軍隊、ギルド達がその場に倒れ込んで、物を言わない廃人化となった。
リオンの容姿が変化し、ますます美貌の容姿になっていった。
しかし、遠くから弓でリオンを狙うギルドの男が居た。
「死ね!バケモノ!!」
弓が放たれた。
「リオン!!危ない!!」
ユマがリオンを庇って、矢がユマの身体に刺さった。
「ユ、マ、姉さん?」
リオンは咄嗟の出来事で理解が出来ないでいた。
「リオン、逃げ延びて⋯⋯」
「姉さん?い、イヤだ!!姉さん死なないでよ!!」
感情が無くなっていた筈のリオンの瞳から涙が流していた。
「ご、ごめんなさい⋯リオン⋯もう、逃げて⋯私もう⋯⋯」
「うわぁぁぁーーーーーーーーっ」
錯乱したようにリオンは走り出し去って行った。
「ハァハァハァ⋯⋯リオン⋯⋯」
「貴女⋯⋯」
この作戦に参加していたギルド所属の少女がユマを見つけた。
少女の目にも、もうこの女性は助からないと把握していた。
「⋯⋯⋯お、お願い⋯⋯リオンの力に⋯なって⋯リ⋯オンは⋯⋯⋯⋯⋯⋯い⋯」
ユマは、そのまま亡くなってしまった。
ユマの想いを託された少女はリオンを追いかけていた。




