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二界暦(ND: Nexus Divisio)の歴史


二界暦(ND: Nexus Divisio)の歴史



■ 概要


二界暦(Nexus Divisio, 略称 ND)は、千年前の「分岐戦争」の終結を基点とする紀年法である。

分岐以前は「原界期」と呼ばれ、伝説や口承詩に断片的に記録が残るのみである。

現代は ND1000年前後にあたり、各大陸は政治的・宗教的・技術的に成熟期を迎える一方で、クリスタル欠片の枯渇と揺らぎ現象の増大に直面している。




■ 原界期(Pre-ND, 分岐以前)


・女神族と魔神族が共に「大晶核クリスタル・コア」を護り育んだとされる。

・技術文明はすでに蒸気機関や飛行艇の萌芽を持ち、同時に高度な魔術体系が存在していたと伝わる。

・史料は「双界詩篇集」「古代鉱山碑文」などの散逸的な記録に限られる。学術的には実証困難であるが、宗教・民俗的伝承では「理想の時代」として語られる。




■ ND 0年 ― 分岐戦争終結


・女神族と魔神族の大戦が大晶核を裂き、世界は「ホームワールド」と「アナザーワールド」に分岐。

・両陣営はそれぞれ「秩序のオーブ」「混沌のオーブ」を携え消失。

・大晶核は砕け散り、無数のクリスタル欠片となって時空に漂流する。

・人類は二つの世界に同時に存在することになり、互いの世界線に干渉する術を失った。




■ ND 1年〜300年:再建と宗教統制


・大陸各地で国家群が再建される。秩序派は教義体系を強め、混沌派は自由交易と武力による支配を広げた。

・エルブ大陸では女神信仰が制度化し、巡礼路と聖都市が建設。

・シル鉱帯では欠片採掘が始まり、原初的な結晶炉が稼働。

・学術的には「揺らぎ」の初記録が残される(ND87年、ラミナ大陸西部)。




■ ND 301年〜600年:探検と外洋進出


・航海技術が進み、オブスキュラ環帯が交易と海賊の拠点となる。

・ラミナ大陸の都市国家群が「連邦制」へ移行、安定した交易網を確立。

・一方、AW側では企業同盟による資源独占が進み、社会格差が拡大。

・ND512年:ノルデン大陸沿岸に巨大要塞群が建造され、軍事国家化の兆候を見せる。




■ ND 601年〜800年:学術革新と戦乱


・両世界で「結晶工学」が発達。欠片をエネルギー変換し、飛行船・自動機械・通信網が普及。

・だが同時に、欠片を兵器化する「結晶砲」「時空干渉兵器」が開発され、各地で戦乱が勃発。

・ND732年:大規模な「裂け目暴走」がラミナ大陸東部を崩壊させ、数十万が行方不明。以後、揺らぎ研究が厳しく規制される。

・宗教勢力と科学勢力の対立が深刻化し、「正典派」と「革新派」の分裂がエルブ大陸を覆った。




■ ND 801年〜950年:大陸間競争の激化


・世界人口が増大し、資源需要が急増。シル鉱帯での鉱山戦争が続発。

・ノルデン大陸は軍事同盟から半永久的な「戦術領」へ移行、傭兵輸出国家となる。

・AWの企業連合が「大結晶炉都市」を建設、都市全体をひとつの欠片炉で稼働させる。

・HWでは「学術院都市」が誕生し、揺らぎ研究と教育を両立するが、同時に異常現象の頻度が上昇。




■ ND 951年〜1000年:崩壊の兆候


・欠片の枯渇が顕著となり、揺らぎ現象は年ごとに激化。

・ND967年:オブスキュラ環帯で「虚無潮流」が発生、複数の島が完全消失。

・ND978年:エルブ大陸聖都で「双界の歌」が再解読され、予言詩として注目。

・ND990年:ラミナ大陸にて「連続点コンティニュー」の兆候を持つ降臨者の記録が残る。

・ND1000年:女神が「世界崩壊の刻近し」と警告。




■ 二界暦の思想的意義


二界暦は単なる紀年法ではなく、宗教的・哲学的意味を帯びている。


・秩序派宗教:分岐は「罪の記録」とされ、NDは贖罪の時間であると解釈。

・混沌派思想:分岐は「解放の契機」であり、NDは進化の時間とされる。

・科学者層:分岐を「時空の断絶」と定義し、NDを「実証可能な時間軸」と見なす。


この三者の対立は千年間続き、政治・学術・文化に大きな影響を与えてきた。




■ 現代(ND1000年前後)


現代の人々にとって、分岐はすでに「伝説」であり、歴史的事実としての実感は希薄である。

だが、日常に影を落とす揺らぎや欠片の共鳴は、分岐がなお現在進行形の事象であることを示している。

二つの世界は、表面上は繁栄と進歩を遂げながらも、基盤となる結晶エネルギーの喪失により、崩壊の瀬戸際に立たされている。


——ゆえに、世界は「連続点」を持つ者を待つ。

彼こそが、千年の歴史を越え、ふたたび二つの大地を結ぶ鍵となる。


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