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ドラグーン戦記 I 〜モブ高生が異世界で女神さんと旅してるけど、スキル『コンティニュー』が便利すぎて逆にやる気が出ない件〜

作者:じゃがマヨ

纐纈五月(はなぶささつき)は、自分が死んだらしいことに気づくまで、わりと時間がかかった。
最後の記憶は、道路に転がっていたスケボーを避けようとしたあの瞬間。で、その次に目を開けたら、なぜか目の前には銀髪蒼眼、女神みたいな美女が立っていた。いや、立っていたというより、光り輝く玉座に腰掛け、こっちを「ようこそ」みたいな笑顔で見下ろしていた。

「ハヤブサさん、あなたは選ばれました。“降臨者”として、この世界を救う使命を——」

「……ごめん、全然入ってこない」

女神の口調は厳かで、荘厳な響きに満ちていた。だが、サツキにとってはどうでもよかった。
だって、顔がタイプすぎるのだ。S級、いやSSS級美女。理想がそのまま立体化して現れたような存在。内容より、顔面しか頭に残らない。

「……ちゃんと聞いてますか?」
女神が眉をひそめる。

「うん、まあ……世界がなんだかピンチで、俺がどうにかしろって話だろ?でも正直……めんどい」

サツキは即答した。あっさりと。
女神は一瞬、言葉を失ったように口を開けた。

「め、めんどい……?」
「うん。だって、俺もう死んでるんだし。このまま天国でも地獄でも、静かに流される方がラクだろ」

女神は慌てて言葉を継いだ。
「いえ! あなたはまだ終わってはいません! “降臨者”は、この分かたれた二つの世界を繋ぎ、やがて訪れる崩壊を防ぐ唯一の存在……もう一度、生を得られるのですよ?」

「ん〜……」サツキは耳を掻いた。
「なんか面倒な伏線とか戦いとか巻き込まれるんだろ?やっぱパス」

女神は深くため息をついた。そして、わずかに顔を赤らめつつ告げる。
「……では、一つだけ。なんでもあなたの言うことを聞きましょう。それが条件ならば」

「……なんでも?」
サツキの目が一気に輝く。
さっきまで死後の楽園に流されたいとか言ってた男とは思えないほどの勢いで、ずいっと女神に身を乗り出した。

「じゃあ……」
彼はニヤリと笑う。
「俺の童貞を捨てさせてくれ!!!」

——世界の運命を左右する交渉が、いま、地味に始まった。
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