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夏休みの約束

「陽翔、夏休みになったらさ……水族館、行かない?」


終業式の日の帰り道、咲が突然そう言った。

告白してから数日。ふたりは前よりも近くなったけど、まだ少し照れくさい距離感だった。


「いいよ。行こう」


咲はぱっと笑って、「じゃあ来週ね!」と手を振った。


夏の朝。駅前で待ち合わせたふたりは、いつもと違う私服姿に、なんだか落ち着かない。


「陽翔、そのTシャツ似合うね」

「え、あ、ありがとう…咲も、なんか大人っぽい」


「えっ!? ほんと?」

咲は嬉しそうにスカートの裾をちょっとつまんだ。


水族館の中は涼しくて、青い光に包まれていた。

クラゲがふわふわと漂い、ペンギンが元気に泳ぎ回っている。


「見て見て! あのイルカ、ジャンプしそう!」

「ほんとだ!」


イルカショーのとき、咲が興奮して陽翔の腕をぐいっと引っ張った。

その距離に、陽翔の耳まで赤くなる。


お昼は水族館のカフェで。

ソーダフロートを半分こしながら、咲がぽつりと言った。


「なんか…デートみたいだね」

「……デートだよ。俺は、そう思ってる」


咲は少しだけ目を丸くして、それからにっこり笑った。


「じゃあ、これからも、たくさんデートしよ」


帰り道。駅に向かう途中、咲が立ち止まった。


「ねえ、夏祭りも、一緒に行かない?」

「うん、もちろん」


真夏の青空の下、ふたりの約束はまたひとつ増えた。


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