委員会最後の日
春に始まった図書委員会の活動も、いよいよ今日で最後。
図書室の机の上には、ふたりで作った紹介カードがずらりと並んでいる。
「ねえ、見て。いっぱいになったね」
咲は、カードをなでながら笑った。
「うん……なんか、あっという間だったな」
陽翔は、胸の奥がドキドキしていた。
――今日こそ、言おう。この気持ちを。
だけど、タイミングが見つからない。
ほかのメンバーもいて、先生もいて、なかなかふたりきりになれなかった。
片づけが終わるころ、咲が言った。
「ねえ、最後に一緒に写真撮ろ? このカードたちと」
「うん、いいよ」
みんなで記念写真を撮ったあと、ほかの子たちは先に帰っていった。
残ったのは、陽翔と咲だけ。
外はもう夕暮れで、図書室にオレンジの光が差し込んでいた。
「……じゃ、帰ろっか」
咲がランドセルを背負いながら言ったとき、陽翔は思い切って声を出した。
「待って、咲!」
咲が振り返る。その目に、夕日が映ってきらめいていた。
「俺……その、言いたいことがある」
「なに?」
陽翔は、ぎゅっと手を握りしめた。心臓の音が、耳の奥で大きく響く。
「俺、咲と一緒にいるの、すごく楽しかった。だから……これからも、ずっと、となりにいてほしい」
一瞬、時間が止まったみたいだった。
咲は目をぱちぱちさせて、そして、ゆっくり笑った。
「……うん。あたしも、そう思ってた」
その笑顔を見たとき、陽翔の胸の奥が、あったかい光で満たされた。
春に始まったふたりの時間は、終わりじゃなくて――これからも続いていく。
図書室の窓の外で、オレンジ色の空に、小さな星がひとつ、瞬いていた。




