ボロボロ
最近、身体が言う事を聞かなくなった。
身体の調子が悪いわけではない。むしろ調子は良い方だ。
精神の調子は悪いかもしれない。
例えば、街中で。
「何あれ?レズカップル?きも」
「今何つったてめぇ」
「ヒィッ!?」
怒りの衝動が抑えられず、すぐに手が出る。
例えば、配信中。
「くろのす、大丈夫?」
「…だめ…今日もう、無理…先、抜ける…」
「おっけー」
物量で検閲を突破したアンチコメントに耐えきれず、吐き気が止まらなくなる。最近はコメントそのものが怖くなってARコンタクトを着けられなくなった。皆に気を遣わせてしまって申し訳ない。
例えば、家の中。
「…あれ」
急に気力が完全に失せて、何もやりたくなくなる。悲しいわけでもないのに、涙が溢れ出て止まらなくなる。
そして、そんな自分が、怖くて、嫌になる。
そんな具合。
「…成る程ね…感情制御が効かない、と」
思い切って、よぞらに相談することに。
「…不謹慎だけど、嬉しいよ、僕は」
「え?」
「だって、くろのす、ずっと我慢してるじゃん。その調子だといつか壊れちゃうよ」
「…」
心当たりが無いとは言えない。勿論、仲間たちへの不満などではない。むしろ彼女たちには感謝しか無い、こんな私なんかを大切にしてくれるのだから。
「あ、今『こんな私なんか』とか思ったでしょ?」
「うぐっ…」
なんて話していると。
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ。
スマホが連続して震える。電話かと思ったけど、違う。大量のメールのようだ。
『死ね』
『人でなし』
『くたばれ』
『化け物へ』
『殺す』
『爆破予告』
それが、気を失う直前に見えた言葉だった。




