怪異
「…そろそろバレてもいいかな」
「…言うの?」
「元々、っていうか今までも相当グレーだったじゃん?それを真っ黒にするだけさ」
「…やめときなよ」
「どうして?」
「くろ姉が真っ黒になったらボクと見た目被るじゃん」
「そっちかぁ」
「ふふ、冗談冗談。ま、バラすのはいいんじゃない?いつまでもタイトル詐欺は良くないしさ」
「むしろ作品世界ではよくここまでバレなかったな、って思ってる。いや、みんな気付いてて言ってないのかな?」
「さぁね。そこはご都合主義ってやつじゃない?それよりさ、そろそろ本編に移らないと読者が帰っちゃうと思うんだ」
「確かに。(笑)じゃ、頑張ってスタンピードぶっ飛ばすかぁ」
「前後構成は普通だね。前に雑魚、後ろに強いの」
「現地視聴者:高火力レーザー天使モドキが雑魚…?」
「六十秒後に大音量!十秒前くらい目安にみんな下がってね〜!」
前半戦は順調だね。特に大音量スピーカーがいい仕事してる。
「そろそろキマイラが来る頃かな」「来た来た…けど…」
やって来たのは、八つの蛇の頭と、九つの海蛇の頭を持つ怪物。
いや、あの、その…うん。
「「「「「キャラ被りが酷い!!!!!」」」」」
どうして八岐大蛇とヒュドラを組み合わせたのだろうか。確かに厄介な相手だけどさ。
「…待って。これ、一気に潰せるな?」
刻で時間を止める。そして十七の頭を全て切る。
「…出来た」
「草薙剣あるかな」「天叢雲剣じゃね?」
『何が違うの?』『日本神話ガチ勢:両者同一、名前が違うだけ。後者が古い呼び方』『助かる』
「いい感じの素材なら採れた」
『おめっとさん〜』
『そういえばさ。くろのすちゃん達って訳わかんない力よく使うよね。実は怪異だったり?』
「お、気付いた?」
『え』『マジ?』『冗談のつもりだった』
「「「「あー、やっぱそうだったんだ」」」」
『エリちゃん達は薄々気付いてたんだね』
「うん、でも地雷の可能性もあるから下手に踏みたくなかったんよ。自分で言うのもアレだけど、踏み抜かれた時の気持ちは分かるからさ」
「見た目は猫獣人で通せるから、それでどうにか凌いでたね。昔、怪異である事を理由に虐められてた事あって。それが怖くって隠してたけど、もうほぼ克服できたし、虐めてた奴はもう居ないし。バレてもいっかなって思ってたところだったんだ」
『おぉぅ…』『みんな波乱万丈の人生だったんだな』
「…そこで人生を怪異生に直さない辺り、私たちを人として認めてくれてるんだね」
『たりめーよ』『くろのすちゃん達は俺らのアイドルよ』
「…これ以上言われると視界が滲むからやめて。でもありがと」
『おうよ!』『スタンピード頑張ってね〜』
「…ん。頑張る。さて、そろそろ大将が来るかな」
…目の前には、神々しさを出そうと頑張って整形したのだろう、神を模した形の超巨大キマイラが居た。
『…なぁ。国はどう動くと思う?』
『知るか。国が排除に踏み込んだら俺らで抵抗するだけだ』
『探索者は多分保護に動くだろうな。今の探索者社会であの子たちかなり高いとこに居るし』
「そりゃ勿論。実際、国の連中には彼女らを良く思わない奴らも居るだろう」
『お、組合長』
「特に、怪異根絶派は全力で動くだろう。今の総理とかな」
『そこで余裕そうに言う辺り勝てると思ってそう』
「休日返上の自衛隊員:実際勝てると思うよ。特に、刑法を無視すればね…」
『まぁ探索者は殺しを躊躇しないだろうな』
「元ベテラン:躊躇してたらとっくに逝ってるからな」
「そこの三人〜!そろそろ大音量飛ばすから下がりな〜!」
「「「おっと、いけね」」」