闇市場
歩き慣れてはいけない道を、一切迷わず歩いていく。2つ目を右、すぐまた右、3つ目を左…開けっ放しのマンホールに飛び込む。
「おひさ〜」
「応、久々だな、くろのす!」
生存都市郊外、完全放棄地区。名前の通り、政府や探索者協会が復興を完全に諦めた地区…という建前の上に成り立つ、公共機関公認のアンダーグラウンド地区。そこにはスラムが形成されていたり、此処みたいに闇市場があったり。
闇市場と言っても、治安はそこまで悪くない。精々、酒に酔った奴が馬鹿する程度だ。
「ねぇ、ジジイ」
「ん、どうした?」
「エクトプラズム抜き“最終手段”って売れると思う?」
「…売れはするだろ。購入者がそれを正しく使うかは分からんが」
「やっぱりそっか…」
最近は中々来れなかったけど、よく此処で珍しい素材を売り買いしてた。勿論、今日も色々と買ったり売ったり。
「デカい水晶、此処にあるよ〜。オークション形式ね〜」
こうしとけば勝手に金が入ってくる。今回は久々なのもあって、落札額がかなり跳ね上がっていた。
大漁大漁。
「…なぁ、くろのす」
「ん?」
「最近、年齢関係なく女が何人も行方不明になっている。気ぃ付けろよ」
「へぇ…それを聞いて私が“気を付ける”程度で済ますとでも?」
「それが分かってるから言ってるんだけどな。だが、まだ情報が少ない」
「私の身内は全員知ってるでしょ?」
「そうだったな。頼む」
「あいよ」




