神域
「connect…出ーないーと目ー玉ーをほーじくーるぞー」
『物騒な。あー、今回は共有したい情報が多すぎる。一旦神域に来てくれ、天照が説明してくれる』
…え?マジで?本気で言ってる?
まぁ行くけどさぁ。
「来たよ〜」
「天照大御神:ごめんなさいね、急に呼び出して…粗茶だけど」
「有り難や〜」
ずぞぞ。美味しい。
「先ず、自然発生型スタンピードの鎮圧、お疲れ様。何と被害は軽症と中等症が合わせてたったの776人、これだけ!本当にありがとねぇ〜」
「邪魔者をぶっ飛ばしただけさね。で、時の神が共有したい情報いっぱいあるって言ってたけど?」
「あっそうそう、それなんだけどね…」
1つ目は、今回発生した怪異の今後の処遇について。
実を言うと、これは既に方針が決まっていた。主に怪異発生前の日本のサブカルチャー文化のせいで、殆どの怪異が此方に害を成さない存在となっていたのだ。よって…
「共存の方針で様子見、で良いかな」
2つ目は、イマの肉体について。
怪異発生に巻き込まれて消失したと思われた肉体なのだが、実は神域で保護されていたらしい。その身体をベースに、私たちの能力を世界に適用する作業を行っていたようだ。
「結果は成功!基本理論の構築が終了したから、もう少しすれば今ある不具合はそのまま落とし込めそうよ」
「それで本人に返却した訳か。にしても不具合って?もしかして私たちの能力…異能のこと?」
「あっ…ごめんなさいね。説明長くなるけど、いい?」
「何となく察せるけど、お願いする」
天照曰く、不具合と言う呼称の通り、私たちの能力は所謂バグのようなものらしい。
神域で行っていたのは、そのバグを仕様とする作業のようだ。諸々の便宜上、これからは異能ではなく“現象”と呼ぼう。
「成る程ね。ところで、私の直感は3つ目の話が“現象”に関わると言っているのだけれど?」
「察しが良くて助かるわ、その通りよ。新たな“現象”が3つ観測されたわ」
割と深刻な問題だった。
「その3つって?」
「浄化と座標操作ね」
「突っ込み2件いい?」
「いいわ」
「先ず、挙げられた2つに心当たりしか無い」
実際、海と空の正常化に前者を、月の奪還に後者を使った。
「貴女本当に察しが良いわね、その通りよ」
「やっぱりか。それで…残り1つはどうした?」
「それが…分からないのよ」
「は?」
「ごめんなさい、こっちでも観測出来ていない事象があって…ただ、持ち主は判明しているわ」
「…見当はついてるけど、念の為教えて」
「貴女の恋人よ」
…やっぱりかぁ。本人から報告受けた段階で薄々気付いてはいたけど…
「まぁ、監視が楽だからいっか…私の妄想言ってもいい?」
「いいわよ」
「アレは多分…世界そのものを壊しかねない」
「…あら、貴女が言えた事かしら?」
「私の妄想が100%当たった場合、私が干渉出来ない領域にもアレは干渉出来る」
「それは困ったわねぇ」
「随分と余裕そうだね」
「…ねえ、2つ聞くわ」
「何?」
「1つ目。貴女は本当に“対概念”や“百鬼夜行”を使えないの?」
「ノーコメント」
「そう、ならいいわ。2つ目だけど…貴女が普段干渉出来るのは、本当に“時間”と“空間”だけなの?」
「そうだよ」
「あらゆる概念を俯瞰して“見る”事は?」
「時空間干渉で事足りてる」
「…真偽判定に介入する事は?」
「出来ない。そも、質問は2つと聞いていたけど?」
「あっ」
過失かよ。
「「………」」
「…あの、そろそろ帰っていい?」
「あっ、ごめんなさいね」
「お茶ごちそうさまでした。美味しかったよ」
「おそまつさま。あ、そうそう、1つ聞き忘れていたわ」
言いたい事は1つって言われて2つ目を聞かされる気分ってこういうのなのかな。
「…どうして、機械仕掛けの神をそれぞれ個人個人として扱ってくれるの」
「…ただの偽善だよ」
「そう。ありがとうね」
「………あの、そろそろ本当に帰んないと」
「用事?」
「予想がついているなら、その耳をモフる手を離してくれないかな。帰りづらい」
「ちぇ。ケチ〜」
「じゃーね」
「また来てね〜」
「……………あい…i………」
CheckPoint#10:Phenomena




