防衛戦(不戦勝)
「…タイミングが悪かったね」
目の前に居るのは、苦しそうにもがく怪異の子。それと、その親。恐らく、かつて親がウメに救けられたのだろう。
結論から言ってしまえば、確かにイレギュラーではあったものの、矢鱈と人を襲う存在ではなかった。
「もうちょっと遅く来ていれば、生かしたまま救うことが出来たのかもしれないけどねぇ…」
ウメは医者だった。それも、生物種を問わない医者だった。怪異の治療だってしていた…その頃は、怪異排斥の動きが強かったから、ウメはめったくそに批判された。植物状態に陥った、直接的要因でもある。確か、鈍器で殴られ…駄目だ、今思い出せば。
「…ごめん」
「グルル……」
「あたし達では、あんたの子を治せない。あんたを治した医者も、暫く動けないんだ…」
「…くぅん……」
ミシッ
「…まぁ、でも」
ミシミシッ
「ご都合主義ハッピーエンドは、嫌いじゃないかな」
バキッ
「おはよう、お寝坊さん。にしても急に起きられちゃ困るよ、朝ご飯の準備がまだ出来てないんだ」
「懐かしい患者の気配がしてねぇ。それで急いで飛び起きたって訳さ。診察するから大人しくしてなよ〜」




