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猫耳少女、或いは、ばけものたちの、日常と非日常。  作者: 猫じゃらし/大鋸屑
17時、飛び出した先の景色。

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音楽

「最後にアメリカで復興支援、これで海外の依頼は終わりだ」

「了解。ちぃも来るんだっけ?」

「あぁ」

「良かった。復興支援なら、あの子…ちぃが1番上手く立ち回れるだろうから」

「…あの子?」

「不老不死の悪い癖だよ」

「…そうか」

 アメリカ合衆国。かなり有名な大都市…だった地区に、私たちは居る。

 瓦礫が散乱し、怒号と同等の指示が飛び交う。はっきり言って、劣悪な環境だった。


「エリ:…酷い」

「くろのす:全員、精神切り詰めて働いてるからね。余裕なんて無いんだよ」


 此処は、数日前に大規模怪異災害…通称スタンピードが発生した場所。

 スタンピードとは、大量の怪異が襲ってくる現象のこと。被害総額は、少なくても数億ドルでは足りない。


「くろのす:…兆は行きそうだね、この様子だと」

「ヒナ:ニュースにもなってたね…」


 因みに、自然発生的スタンピードは過去に一度しか起こっていない。殆どのスタンピードは狂人により引き起こされる。

 そして、今回もその例に漏れない。


「ミオ:あの屑共…ちょっとでも甘く見たのが間違いだった。そろそろ本気で根絶やしにしないと」


 今回の原因はミオを産んだ2人が始めたカルト宗教の残党だ。ネットに流れた映像では新時代とか何とか言ってたな。

 兎に角、何かしらアクションを起こさないとどうにもならない。近くの比較的地位が高そうなおじさんに声を掛ける。


「くろのす:そこのおじさん、ここの現場監督みたいな人って居る?」

「おじさん:ああ、と言うか俺が現場監督だ。お前等が禍ヰ者で間違いないか?」

「くろのす:間違いないよ。優先的にやって欲しい事とかある?」

「現場監督:瓦礫撤去を手伝って欲しい。人員が増えれば多少士気も向上するだろう」


 恐らく、本題は後者だろう。丁度いい。


「くろのす:了解。ちぃ(千晴のこと)、どうにかできそう?」

「ちぃ:発電機借りれれば何とかなる」

「現場監督:発電機なら余裕は少しあるが…何する気だ?」

「くろのす:即席の野外フェスだよ」






「群衆:おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」


 今回のような荒れ方は今まで何度も見てきた。こういう時は大抵、娯楽が足りていない。

 という訳で即席野外フェスを開催することにした。初手ジャズは割と成功だったと思う。その後もいくつか大衆受けのいい曲を披露していく。

 ――そして。


「シエル:歌いたいヤツ居るー?居るならステージに登れー!早い者勝ちー!」

「テラ:自前の楽器も大歓迎ぇ!下手でも全力で楽しく歌えば様になる!遠慮せず来ーい!」


 聴衆をアーティストにする。知ってる歌は全員で歌い、知らない曲は手拍子と歓声で乗る。

 会場全体が、ひとつになる。

 こうすることで、みんなに溜まっていたストレスを、音楽という形で解消させることができる。


「おい!折角だし日本の歌を聞かせてくれ!」

「くろのす:んぇ、マジ?まぁいいけど」


 取り敢えず知ってる歌を適当に選んで歌う。割とウケるもんなんだな。

 結果、ライブは大成功。少なくとも雰囲気は改善した。




「くろのす:…ごめん、ちょっとやることあるから離脱する」

「シエル:ん、了解で〜す」


 …皆から見えなくなったところで、瞬間移動を発動する。

 そこには、巨大な樹があった。


「…さくら」

「ん、くろのす。悪いね、急に呼び出しちゃって…」

「全然大丈夫だよ。様態は?」

「良好。このまま日本に持ってく。ちょっと手伝って」

「ん」


 再び瞬間移動。


「…よし、様態の変化無し。ありがとね、くろのす」

「どういたしまして。あとどれくらいで目覚めそう?」

「もうあと数日ってとこかな」

「そっか。私はそろそろ戻るよ」

「おけ」


「…待ちくたびれたよ、ウメ」


 巨木に触れながら、さくらはそう呟いた。

CheckPoint#7:Musica

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