魔族
「司祭:探索者の皆様、こんな仕事を受けてくれてありがとうございます」
「くろのす:いえ、頼れるのが自分たちしか居なかったみたいですから」
当たり障りの無い会話を数分続けて。
『妙に手練れてるね』
「エリ:…ここが、例の部屋らしい」
「ミオ:…悪魔、どこ?」
「そこに居ますよ」
そう言って司祭が指さしたのは…既にボロボロだけど、未だ生きる気力を失っていない、魔族の子だった。
「ヒナ:…この子を殺せ、と?」
「ええ。それは、世界の平和を脅かす危険分子ですから」
「シエル:…無理で「分かった」くろのすさん!?」
『くろのすちゃん!?』『マジか…』
瞬間、鮮血が飛び散る。
「『ほぼ全員:えっ…?』」
しかし。それは魔族の血ではなく…
「が…っ」
…人間の血だった。
「…さて。魔族ちゃん、名前は?」
「ぇっと…テラ、です…」
「この流れ、ちょっと既視感が…」
「うん、どっかの青空さんでおんなじのあったね」
「隠せてないよ」
…ん?司祭がもぞもぞ動いてる。まだ死んでなかったのか。まぁどっちかって言うと苦しめるために殺さなかったんだけど。
「クソ…クソ、クソ!この異端g」
ずどん。ヒナの戦斧が振り下ろされる。
「…あ。やば、フィルター…」
「磨りガラスカバー付けたからセーフ」
「ありがと。にしても断面とか久々に見たな」
『久々に…?』『人肉喰ったことあるタイプ?』
「ん、禍ヰ者とその関係者は全員喰ったことあるよ。でも同族は相当な空腹でない限りオススメしない、生理的嫌悪と本能的嫌悪で吐瀉物塗れになるから」
『生々しいな…』
食事中の人とか居たらごめんね、飯食いながら小説読むの行儀悪いよ。
『ってか殺っちゃって大丈夫なの?』
「倫理のりの字も無い組織だからね、こいつらの方が社会を脅かす危険分子さ」
『oh…』
『倫理観の欠如は禍ヰ者もでは…?』
「「「「「確かに」」」」」
「そういえばさ。あの司祭、或いはその仲間の人たち、殺ろうと思えばいつでもテラちゃん殺せたんじゃ…?」
「あ、ぇと、この守護の御守りのおかげで、瀕死で済んでました…」
「なるほど…御守り自体が弱って、いつまで持つか分からないから瀕死の時に使った、ってところ?」
「はい。恐らくあの司祭どもが皆さんを呼んだ目的は、時空切断の可能性に賭けたのと、後は強いて言うなら布教の為でしょうか」
「すごっ、そこまで頭回るんですね…私だったら絶対無理です…」
「内心めっちゃビビってましたけどね自分…あれ?くろのすさん…」
「ん、テラちゃん、どした?」
「あの…こんな刀、持ってませんでした…?」
…え?
「…確かに持ってた。まだ生きてたんだ…よかった」
「この施設を探し回っていたら、物置の奥で見つけました。護身用に魔法収納にしまっていましたが、くろのすさんの刀に酷似していたので…」
「そっか。もしよかったら返してほしいんだけど…」
「あっ、はい!どうぞ!」
「あ、ありがと。…久し振り、“時”」




