閑話:邂逅
ちょっとだけ昔ばなしをしよう。
ある日、店の準備をしていると。
「…え?」
店の前で、女の子が寝ていた。
…だけど、妙に息が荒く、顔が赤い。とても寝苦しそうで、触ってみると案の定熱かった。昨日は雨だったから、身体が冷えたのだろう。
風邪を引いている子を外に放置する訳にもいかないから、周囲の目を無視して店の中に入れた。
とりあえずベッドに寝かせて、氷嚢用意して…
ふしぎなゆめをみた。
おとうさんとおかあさんがおいかけてきて。にげてもにげても、おいかけてきて。
つかまって。
いやなことをされて。
だれかたすけて、っていったら。
だれかがたすけてくれた。
ひんやりして、きもちよくて。
ふわふわにつつまれた。
あったかくて、きもちよくて。
…そのあと、どうしたっけ…
蜂蜜入りミルクココアを用意していると。
「んぅぅ…ぁえ、ここどこ…?」
「ん、起きた?おはよ」
「ぇっと…あなたは…?」
「私はくろのす。あなたは?」
「ぁぃ…」
「あいちゃん、ね。いい名前じゃん」
ほんとうはあかり、っていおうとした。けど、あいでもいいきがした。
あ、みょうじ…てきとうでいいや。
「ぁの…ここは…?」
「ここは私の店だよ。店の前で風邪引いてたから、放っとけなくてね…あ、ミルクココア飲む?蜂蜜入りだよ」
「のむ…」
あったかぃ…
やばっ、飲む姿かわい。見てるだけで癒されるわ〜。
「…そういえば、あいちゃん、もしかして家出?答えたくないなら答えないでいいからさ、ちょっとだけでも教えてくれる?」
「ぃぃけど…なんで?」
「ん〜…何となく?」
「ほぇ…?」
「理由は色々あるけど…やっぱり一番は『何となく』かな」
正直に言えないの、直さないとな。いやでも、『心配だから』なんて、やっぱり言えないや。
なんて、あいちゃんの頭をよしよししながら考える。
…って、えっえっえっ
「えっ、ちょっ、急にどうしたの!?」
「ふぇっ!?ぇ、なに…?」
急にぼろぼろ泣き出したのだ、表情を一切変えずに。
…もしかして、気付いてない…?
ぎゅっ
「ふぇ…?」
「…辛かったね、あい。苦しかったね」
「ぇ……」
「いっぱい泣いて。いっぱい叫んで。押し込めてたもの、全部吐き出して」
今まであいがどんな時を送ってきたかは、まだはっきり分かるわけではないけど。
とても、とても辛くて苦しい時だったことは分かる。
「ぁ…ぁ……っ」
「がまんしないで」
「………ぅっ、ううっ…」
「うわあああぁあぁぁあん!あぁああぁあっ…!!」
…よくできました。よしよし。
「ずっど…ずっど、つらがっだの…!みんなのごどばがちくちくささっで…」
「…うん」
「わだしもだのしいごどしだいのに、ぜんぜんでぎなぐで…」
「…うん」
「ううっ…うあぁ…」
…暫く泣いた後、あいは泣きつかれて寝てしまった。
「…ずっと、側に居るからね」
あえて色々使い回してます。
CheckPoint#0:温もり




