第四夜:スプリングカクテル
最近、夜中に食材が減る。
夜食ブームでも起こっているのだろうか。同一犯ではなさそうだ。
「なら共犯者になるしか無いよね」
「厨房にレッツゴー」
「えー、今回はお酒を作りまーす」
「二十歳未満は真似しちゃダメだぞー」
ベースは梅酒。そこに飾りの塩漬け桜花(当たり前だけど、チェーンソーじゃない方の)を乗せる。
基本はコレ。
氷の入ったグラスに梅酒とジンを3:1、炭酸水を適量。マドラーで軽く混ぜる。
ぬるま湯で軽く塩抜きした桜花を乗っけて、完成。
「「…乾杯」」
かつん、からり。透明なグラスと透明な氷が鳴く。
「…酒は良いね、馬鹿になった気分になれるよ」
「いつも割と馬鹿してるけどね」
「ホントは夜の酒なんて良くないんだけどねぇ。と言うか医者様が飲んで良いのかい?」
「みぃんな似たような事やらかしてるさ、カロリー爆弾に御当地ラーメンに妙に手の込んだ手作り菓子に…」
「…おやおや。ウメ、酔うにはちと早いよ」
「ん、酔ったつもりは無いんだがねぇ…」
「アッハハ、冗談冗談」
酒の心地良さに口を委ねる。
「…ねえ。最近、どう思う?」
「くろのすかい?」
「うん。何処か何かを急いでいるように見える」
「そうだねぇ。ま、何かあったとてわたしらには分からないものさ、きっと!」
「ハハ、違いない。分からないもの心配したってどうしようもないか!」
「「アッハッハ!」」
酒の力とは恐ろしいものだ。普段から他の住人より酒をよく嗜む2人は、その事を良く知っている。
酔い始める前に、2人は全てを片付けて、布団に潜り込んだ。




