禍ヰ者
敢えて読みづらくしている部分あり。文脈で察してね
〈しぃぃぃぃねぇぇぇぇ!!!!!〉
対面早々、教祖の片割れが奇音を上げて突っ込んできた。
「…まずいな」
「どしたの?」
「あの教祖キマイラ、絶望的に美的センスが無い」
「「「「「ぶっ」」」」」
『『『『『www』』』』』
「見ていて不快だから、さっさと潰すね」
〈黙れぇぇぇ!この紛い物がぁぁぁぁ!!〉
女神の紛い物が何か言ってる。うるさい。
「確率変動。対象、私。残響連撃の発生確率、時間停止の発生確率百パーセント。時間、十分」
『くろのすちゃんの本気だぁぁ!!』『逆に言えば相手はそれだけヤバいって事…』
「ま、そゆことだね。じゃ、とっとと殺ってしまおう」
「ミライ:確率変動。対象、みんな。確率性行動の絶対成功。時間、十分。くろ姉、こっちの方がいいかも」
「確かに。でも全員参加でほんとにいいの?」
「ミオ:困った時はお互い様。グループ結成の時にあんたが言ったことだよ」
「…そうだったね。ありがとね、みんな」
「あたしの台詞だよ。身内の問題に付き合ってくれてありがと」
全員で、紛い物の女神に挑む。
〈しn〉
何か言おうとしたようだけど、先に女神モドキの時が止まる。
「当たった!全員、撃ち込めー!」
「「「「「「「うおおおぉぉぉーーー!!!!!!!」」」」」」」
結論。性能を攻撃に振り切っていたのか、案外脆かった。
「終わったー!」「残党処理も全部終わりらしいよ!」「よーし、あとは本部襲撃…」
「まだ残っているだろう」
「…誰?」「いや、誰かは分かる」「うん、それはそう。でも…
…どうして、総理大臣が、ここに?」
「決まっているだろう。怪異排除の為に、警察と自衛隊の指揮をしに来たんだ」
総理の後ろには、探索者よりも多い、警察と自衛隊が居る。
「はぁ…ここにはもう脅威になり得る怪異なんて「私のこと、ですよね?」
「…え?」
「…ごめん、みんな。私はグループから抜けるよ」
薄々、分かってた。こうなるって。
「…そんな立ち悪い冗談、やめてよね。笑えないから」
「ううん。冗談なんかじゃない」
できれば、冗談にしたかった。
あの子たちに背を向ける。今の顔は見せられないから。
「ようやく観念したか、人の紛い物め」
観念したよ。化け物として死ぬのも、悪くないかもね。
「…」
は?
人の…紛い物?
「今の発言は、撤回してください」
「…え?」
「何を言っているのだね。君たちは怪異に手を貸しているのだぞ」
「知るか。私たちの中では、くろっち達は、人間で「違うよ」
…え?
「私たちは。ただの紛い物。神の紛い物。人の紛い物。怪異。存在を許されない存在。」
「…」
「じゃあね「ねぇくろのす」…」
「くろのすって、私たちによく背を向けるよね。どうして?」
「…」
「何を、隠してるの?」
「…なんだろうね」
嗚呼、馬鹿。涙声だとすぐバレるじゃん。
「くろのすってさ、いつも辛いこと引き受けてくれたよね」
「人の精神なんて持ち合わせていないからさ」
「今回だってそう。女神モドキを倒すとき、自分だけにバフ掛けてた」
「自分だけでも生き残るためさ」
「くろのす達はさ。確かに怪異かもしれないけど、少なくとも五割は人間だと私は思ってる」
「…切り捨てれば何物でもないね」
「四捨五入すればどっちもだよ」
「世間は都合のいいところばかり見るさ」
「なら私は都合のいい”人間”ってところだけ見るよ」
「…嗚呼、もう、五月蝿いな
また、みんなと一緒に居ていいって、思っちゃうじゃん」
ようやくこちらを見た彼女の顔は、涙でぐしゃぐしゃになりながら、辛そうに笑っていた。
「一緒に居よう」
「国に狙われるかもだよ」
「困った時はお互い様」
「…全く。相手の発言を忘れたころに引っ張り出す、困った連中だよ」
でも、うれしかった。
ゆっくり、みんなの方へ歩く。
けど、途中で立ち止まる。回れ右をする。総理と向かい合う形になる。
「…え?くろ「ちょっと待ってて」
せめて、宣戦布告だけはしておこう。
「国に従う者は、総理の方へ。背く者は、私たちの方へ。」
何人かが動く。
(ありゃカッコつけたな。絶対後で恥ずかしくなるやつ)
「全員、止まったね。その信念、裏切らずに貫ける?」
再び、何人かが動く。最終的に、こちらの方が多くなった。
『俺たちもくろのすちゃん側だぜ!』『おうよ!』『勿論!』
それと、温かいコメントの数々。
「ちょっと待ちたまえ。どうして探索者組合はそちらに居る?」
「こいつらは充分に国に貢献していると思うのだが。要らないというのであれば貰うつもりだ」
「泥棒共が」
「捨てられたものを拾っただけで泥棒になるのか?酷いな」
「ふん。国民を総動員してでも潰してやる」
「へぇ。そちらにつく国民はいくら残るかな?因みになんだが、この様子は現在、全世界に向けて配信されているぞ」
『ちゃんと鳩行為してますよ』『大手配信者:ここまで正義な鳩行為があっただろうか』『別配信の視聴者:『なにこれ』『信じられない』『総理クズかよ』『総動員?参加するかボケ!』』
「なっ………っ」
あっ、逃げた。
「良かったんですか?探索者組合が国から離反して」
「あんな屑の下で働きたいと思うか?」
「いいえ全く」
「そうだろう?それに、今回は国のトップが国から離反した形だ、何の問題もないさ」
「…確かに」
…正直、辛かった。みんなのもとに戻れて、良かった。
「…ねぇ、みんな。今更だけど、グループ名思いついた」
「ん、どれどれ」「見せて」「じぃー…」
メモ用紙に、三秒で思いついた単語を書く。
『禍ヰ者』
「特に深い意味はない。元々、紛い物の語感自体は好きだったし。強いて言うなら…みんな、いわくつきの過去を持っているくらい、かな?」
「…いいじゃん!」「さんせーい!」「悪くないね」
後日談書いたら終わり。




