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「お腹空いた……」
ずっと朝から本を読んでいたらもう十六時になってしまっていた。
ちゃんと三食食べなければならないということをお腹が教えてくれている。
「面倒くさいわ……」
目も疲れたし、同じ体勢を続けていたからあんまり動きたくない。
利用するみたいで悪いけど、こういうときこそ真樹にいてほしいところだ。
「そういうときこそ僕の出番だよね、いまからご飯を作るから任せてよ」
「ごめん、あとでひとつ言うことを聞くから頼むわ」
「そういうのはいいから、あと、丁度いい時間だからね」
部屋にいたとかそういうことではなかったし、足音だって聞こえなかったのに気づけば側にいるんだから不思議な存在だ。
飽きているような感じもしない、自惚れの可能性もあるけどそれどころか嬉しそうなぐらいだった。
「はいできた」
「真樹、こっちに来なさい」
「うん? おお、まさか真織の方からしてくれるとは」
「あんまり変わらないけど、あんたがいてくれるから毎日楽しいの」
「確かに変わらないね、だけどそれが落ち着けるよね」
んー、なんか「おお」だけで終わらせられるともやもやする。
本当はもう既に後悔しているとか? だからここまでノー反応に近い感じなの?
「食べよう、冷めてしまったらもったいないから」
「待ちなさい、あんたなんでそんな感じなわけ?」
「ん?」
「やっぱりもう飽きたんでしょ」
考えたばかりで矛盾しているけどそのようにしか見えないから仕方がない。
これをなんとかしない限りはご飯も美味しく食べられないから仕方がない。
ちなみに真樹は今回も白々しく「なにを?」と聞いてきただけだった。
「いま滅茶苦茶抑え込んでいるところだけど、なにを飽きたって真織は言うの?」
「あんたそうやって話を逸らそうとしたって――」
「これは真織が悪いんだよ」
「って、同じように抱きしめてきただけじゃない」
そんな言い方をしてきたものの、結局してきたのはいま言ったことだけだ。
「流石にいま全開にするのは違うからね、ご飯を食べよう」
「はいはい、ま、作ってくれてありがと」
「うん」
これではまるでこちらがそれだけでは物足りないみたいではないかっ。
美味しいご飯を食べつつも内はどんどんとごちゃごちゃになっていく。
こんな自分を直視したくなかった、どっちにしてもこれってなんでやねん。
とことん上手くいかない、神なんて存在はいないのかもしれない。
「ごちそうさま、お風呂に入ってくるわ」
「うん」
「それとね、あんた今日は覚悟しておきなさいよ」
「ん? いいよ、朝まで付き合うよ」
「絶対だからね、お菓子とかジュースとかあるんだから夢の世界に逃げるんじゃないわよ」
待っていても悪い方にしかならないなら期待するだけ無駄だ、それならどんどんと動いた方がいい。
というか、私がそうしないと寝られなくなりそうだったから必要なことをするだけだった。




