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プロローグ 悪役令嬢、死のカウントダウン

タイトルが弱く、PVが全然伸びなかったため、打ち切りとしました。

一応完結させましたが、最初と最後しかございません。

読む際はその点を留意してお読みください。

「本当に残念だ。君が本当のことを話さない以上、ガイアシュナン伯爵家は伯爵号のはく奪、領地は没収。そして……」


 皇太子メッセルリンク・シュナッフバウワーは目を瞑り唇が震えていた。

長い沈黙の後、意を決して両目をカッと開き


「ラフィリア・ガイアシュナン。君との婚約はここに破棄させてもらう!!」


 ドクン。


 と俺の心臓が大きく鳴って、さらに激しく躍動し始める。

思った以上にこいつは堪えるな。俺は自分の胸の辺りに手を当てる。

この「ブランセブル高等学院」の卒業パーティの会場には多くの貴族たちが集まっていてこのやり取りを固唾を飲んで見守っていた。


ここからが正念場であった。


「そんな……」


小さな女性の声が俺の口から出る。

俯いていた顔を上げて悲哀の表情でメッセルリンクの顔を見る。


「納得できません。私が……私が何をしたというのですかっ!!」


 思った言葉は綺麗な女性が発してもおかしくない言語に変換され、怒りで声を荒げてもその美しい女性らしい響きは失われない。


「まだそんなことを……」


メッセルリンクは心を痛めたように眉をしかめて顔を背ける。

その時、彼の秘書兼付き人である赤毛の青年が前にでて右手をサッと横に動かすと

空中にパッと映像が出る。

そこにたくさんの文章やデータが出てくる。


「ここにあるのはあなたが宇宙海賊たちを支援していたという証拠です。使途不明金の流れ、宇宙海賊のダミー会社への何重にもダミーを介して送金した記録。細かいやり取りのログも残っています」


そう言ってさらに右手を振ると空中の映像が切り替わる。


「さらに、宇宙帝国軍への賄賂、物資戦艦の横流し。未登録娼婦の斡旋など」


軍艦が運ばれる写真、物資を受け取っている業者の写真、兵士たちを誘惑する淫らな女性たちのむービーが空中に映し出された。


「それだけでなく各商会に対する悪質な嫌がらせ、流通阻害、献金横領などなど……」


赤毛の男は冷たく俺を見下ろし


「……まだ罪状が必要ですか?」


 そう告げる。その瞳には勝利を確信した光が見える。

 俺は、少女の身体は力なく肩を落として俯く。

我ながらひでー罪状の数々だった。濡れ衣です!!と言えない物もちらほらあるのが手に負えない。

 だが、まだ俺の仕事は終わってなかった。

気持ちを切り替えて力強く顔を上げて、キッと赤毛の男の後ろに隠れるようにして顔を伏せていたメッセルリンクを睨みつけて


「こんなの出鱈目です!!捏造ですわ!!メッセルリンクさまはそんなにあの女がいいのですかっ!!!」


怒りの形相で力いっぱい左手を振り、壁際にいる少女を指さす。


ピンク色の短いボブカットの少女。小柄で華奢でおとなしそうな女の子。男の好きを凝縮したような小動物をれんそうさせる少女を憎々し気に見る。


メッセルリンクはその言葉に慌てて怒りを露わにして


「彼女と今回のことは関係ないっ!!」


そう叫ぶ。

だが、一瞬悩むような顔をしてから目を瞑り、意を決したように

赤毛の青年を押しのけて前に出て俺の顔を見ながら


「……ああ、そうだ。私は彼女、アイレーン・ドミリニオを……愛しているっ!!!」


そう言ってメッセルリンクの熱い視線は壁際の少女、アイレーンに注がれる。

この場にいた誰もが彼女に視線を送る。

……俺もまた彼女を見る。

 彼女の驚愕した、それでも喜びを隠しきれない顔が俺の胸をチクリと痛ませる。

次の瞬間彼女の視線が俺を見る。目が合ったがすぐにそらして俯いてしまった。

 そんな自分が嫌になったが心の中で願う。


どうか……どうか……と。


心臓がバクバクと言っている。俺の命運は

正に命があるかないかは


彼女にかかっていた。



静寂の中、か細い声が彼女の口から漏れ出て


「わ、私は……」


俺は息苦しくなって目を瞑った。

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