表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

夢使いのゲームスタート

 とあるVRMMOが流行ったことでこぞって世界が開発に乗り出した。

 冒険、生活、育成などを中心にしたゲームが次々と開発されていく。

 それ以外にも様々な要素を足してそれぞれの特色を出していった。


 今回の『Free Skill Online』は自分の考えた能力を運営がチェックして使えるようにする。

 ゲーム開発側はスキルをある程度設定しておくだけで他のことに力を注いでいた。

 それでイベントを多く開催するゲームの完成になった。




--------------




 そういう事前情報をネットで読んでいる少女はすごく笑みを浮かべている。


「なるほど。これが初めてやるゲームなんだね」


「楽しそうでしょ。では!早速始めよう!」


 事前情報を確認していた園崎凛子(そのざきりんこ)は親友の武藤サツキ(むとうさつき)とのビデオ通話を切った。

 それから段ボールに詰められているVRMMOの一式を出した。

 そして鼻歌()じりにそれを一気に準備してヘッドギアを被った。


 それを起動してダイブすると無機質な何も無い空間に飛ばされた。

 そこで凛子は最初の設定をさせられることになった。


「さっちゃんが待ってるしさっさと決めよ。名前はリンゴで、武器は刀にして、能力は『実現化の能力』にしよう」


 テキパキと設定を終わらせたリンゴは刀と能力を受け取った。

 それから出現した出口に向かって小走りで行った。


 外に出ると3日前から始めていたサツキが初期装備のままで待っていた。

 広場の噴水の脇に突っ立っている。


「お待たせ!」


「そんなに待ってないよ。あんたが予想より早く参加の決意を固めてくれてよかったよ」


 凛子は今まで見る専だったのでやる気は無かったが、サツキがしつこく説得して今回から参加を決めた。


「あんなに熱心に勧められたらやってみたくなるよ。だから、私を満足させてね」


「分かってるよ。で、ステータスを見せ合おうか」


「約束してたからいいよ」


 2人はステータス画面を表示して見せ合った。


「へぇー、以外だわ。名前はともかくとして、能力を制限がかかる上級系にするとはね」


「そう言うそっちはプレイヤーネームがブドウで能力は中級なんだね。どうせ無難に見せて実は使い方で強くなるんでしょ?」


「うーん、リンゴにはかなわないなぁ。そうだよ。私の糸は他のと違って自由自在だからね」


 この2人の能力をまとめるとリンゴが制限付きの『実現化の能力』で、ブドウが制限無しの『糸を自由自在に操る能力』になっている。

 2人の強さは未知数だが、糸のブドウはすでにまあまあの知名度がある。

 それを知ってもリンゴはこのゲームのコンセプト通りに自分の能力が最強だと思っている。


「その能力と私の能力を実際に見てみたいからどっかで狩りしよ」


「そだね。まぁ、このゲームのコンセプトは『対人で自分が考えた能力が最強であることを証明する』ってこと。イベントがその場だからそれまでは森で素材を集めよう。付いて来て」


 リンゴは初心者だから様子見をしてきたブドウの後に続いた。

 目的の全プレイヤーが最初に訪れる森はそんなに遠くない。




--------------




 目的地に着くと早速雑魚モンスターが姿を見せた。

 かわいい蛇型のモンスターはリンゴをターゲットにして戦闘態勢をとった。


「さて、リンゴの能力はどんなのか…な?」


 ブドウが何かを言い終える前に無情な目になったリンゴが仕留めた。

 能力で大きな釘を具現化して一撃で貫いたのだ。


 この結果には糸でそれなりの戦いをするブドウでも度肝を抜かれた。

 話してる一瞬でドスッという音の後にモンスターが消滅したのだから驚かないわけが無い。


「マジ?」


「大マジだよ。これが実現させる能力の実体だ。制限されてても強いのに変わりは無い。時止め?空間操作?ブラックホール?そんなのは何でも実現する能力の前で雑魚になる」


 どや顔でリンゴはそう話した。

 あまりの圧倒さに悔しくなったブドウは広範囲に細い糸を張った。


「何してるの?」


「1度で大量モンスター撃破」


 そう言った直後に糸が様々な場所で動き回ってセンサーの糸にかかったモンスターを切り刻んでいった。

 そうしてたくさんのモンスターの断末魔の中でブドウは笑った。


「これが自在に動く切断の糸だよ。あんたにならコピーが出来るかも知れないけど、ここから先は自分の能力こそ最強だと思う者同士の戦いになる。完全コピーさせないためにここで分かれよう。こんなに強うそうなら戦うのが楽しみだよ」


 いきなりの敵になる発言にリンゴは堂々とした。

 なんとなくこうなることを理解してたのかも知れない。


「最高の親友は最強のライバルってね。いいよ。ここからはしばらく敵になってあげる。私もこんなにすごい相手なら初めてのゲームでも楽しめそうだ」


 受け入れたリンゴは目を見開いて微笑んでいる。

 それに対してブドウはしばらく離れることになるから笑って約束した。


「このゲームではライバルだけど、リアルでは今まで通りに親友であることは約束だ。勝手に仲間を作ってもいいけど、互いのことを忘れないように。それじゃあ、しばらくバイバイ」


 そう言ってブドウはすぐに行方をくらました。

 リンゴは女子なのに武器を使った戦いを好むのでこれからが楽しみになった。

 不気味に笑ってからこのことを忘れないようにして今日のゲームを終えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ