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12 師匠からのプレゼント

 チャールズから私達に、大地ジオのクリスタルが渡される。

 ん?ナニコレ?

 触れているだけなのに関わらず私の中の魔力が少しづつ流れて込んでいくのが感じられた。


「まずはその大地ジオのクリスタルに魔力を注ぎ込んでみろ」


 言われるがまま、両手でクリスタルをぎゅーっと握り締め魔力を注ぐ。


「これいつまで注げばいいの?結構な魔力が吸い取られていくみたいなんだけど」


「私が良い、と言うまでだ……。おっとさすがにシビルは早いな、もう少しだぞ」


 クリスタルは陽の光を反射しているように、徐々に自らが輝きだす。

 そして、そのまま魔力を注ぎ込んでいると、眩しさを感じさせるほどの光を放ち、それ以上魔力を吸い取られる感じがしなくなった。


「シビルは完全に注ぎ終わったな。ローズは……、もう少しだ、頑張れ」


「これ……、結構な魔力使わない?」


 ローズはぎゅっとクリスタルを握り締め、かおしかめつつ魔力を注ぐ。

 ローズ頑張れ、ローズガンバレ。


 私に遅れる事数分、やっとローズのクリスタルも眩く光り出した。


「二人とも注ぎ終わったようだな。……ローズ、魔力枯渇は起こしてないか?眩暈めまいとか無いだろうな?」


「この程度なんてこと無いわよ!言ったでしょ?日々、魔法マジックの鍛錬は欠かしてないって」


「そうか、シビルは……、君は確認するまでも無いか」


 むぅ、私だけ扱いが雑な感じがする……。


「言っておくが、ここでつまづく者もそれなりにいるぞ?と、言っても、一度に注ぎ終わる必要も無いがな。今の過程はいざとなれば数日かけても良いんだが、その場で出来る事に越したことは無い」


 そういった魔力がやや少ない者は、寝る前などに魔力を少しづつクリスタルへ注ぎ込んでおくようだ。

 そうして魔力を注ぎ済のクリスタルを複数所持して準備しておくものらしい。


「魔力を大地ジオのクリスタルに注ぎ終わったら、本当は形を騎獣マウントに変化させるんだが、その前に今のクリスタルの大きさだけ変えてみろ。大きく膨らますイメージを持つんだ」


 今の形のまま大きく膨らます?

 こんな感じかな……。


 私は円いシャボン玉が少しづつ膨らんでいく姿をイメージする。

 膨らます感じ、膨らます感じっと。


「あ、膨らんできた!」


 最初は拳サイズをしたいびつな形のクリスタルのはずだったが、私のイメージに伴い、徐々にではあるが膨らみ始めた。

 もっと大きく、大きく。

 私の頭大まで大きくなった所で、次の言葉が飛ぶ。


「シビルはそこで一旦ストップだ。ローズはシビルの事をあまり気にするな、他人と比較すれば君でも十分に褒められるレベルだぞ」


「……それって褒められているんですの?あまり褒められた気がしないんですけど」


 チャールズは苦笑すると「喋ってないで集中しろ」とだけ言い、ローズもそれ以降口を閉ざす。

 ローズのクリスタルも頭大に大きくなった所で、


「よし、ローズもそこでストップだ。眩暈めまいはしていないな?では再び元のように小さくしてみろ」


「えー!!せっかく大きくしたのに!」


「……ローズ、騎獣マウントを作成するのは自由に大きさ形を変えられなければダメなんだぞ。これはまだ練習段階だ」


「……はーい、分かったわよ……」


 頭大に大きくなったクリスタルを、両手で抱え込むようにして元のこぶし大の大きさをイメージする。

 小さく、小さく、イメージ、イメージ。


「元の大きさに戻ったら、より小さく……。そうだなこの石ぐらい小さくしてみろ。それが終わったら再び大きく膨らますんだ」


 足元の石をつまみ上げてチャールズは言う。

 うーん、難しくはないけど……。

 チャールズの指示通り、小さくして、大きくして、再び小さくして、大きくしてという作業を繰り替えしたところで、


「では次の段階に行くか」と、チャールズつぶやくと足元の葉っぱを拾い上げ、


「次は形を変える、最初はこの木の葉と同じ大きさ、同じ形にしてみるんだ」


 これは今までと違い、うまく出来るまで時間が掛かった。

 最初は細部までうまくイメージが出来なかったのだ。


 逆にローズは私より上手く出来ていて、チャールズに褒められていた。

 むー……。これってやっぱり絵画はローズの方がうまいから?

 ローズはそんな私の気持ちを知ってか知らずか、こっちをてはニヨニヨしている。

 魔法マジックに関しては、いつもローズより上手く出来ていたからなんか悔しい!


 葉っぱの形にしたり枝の形にしたり石ころの形にしたりと、クリスタルを様々な形に変化させる。

 そんな練習を繰り返し、疲労の色が見え隠れしたころに、


「よし、もういいな。では本番に入る……。ローズ、シビル、自分が騎乗する動物をイメージしろ。空を飛ぶことが出来る物だ。イメージが正確にできれば必ずしも実在の動物である必要はない」


 うーん、動物動物……。馬!は空を飛べないからダメか。チャールズの様に鳥?

 でも実在の動物じゃなくてもいいっていってたよね。

 ペガサス!、うーん、グリフォン!、うーん、天使!、いやそれはちょっとまずいか……。


「ねーねー!シビルは何にするの?」


「まだ考え中……。ローズは?」


「シビルの意見を聞いてから決めようと思ったんだけどどうしようかな……」


 私達があーでもない、こーでもないと話あっているとチャールズが、


「形を決めかねているのなら君たちの家の紋章にいる動物はどうだ?騎獣マウントは家の紋章を参考にしてる者も多いぞ?」


 紋章!


「あ、それ良いわね!確か侯爵家()の所も、伯爵家(シビル)の所も鷲が入っていたじゃない?揃いでそれにしましょうよ!」


 うーんと、伯爵家うちの紋章にいる鷲ってどんなんだったっけ?

 確か……。

 私はローズに頷くと早速イメージに入る。


 確か、こんな形で色は……。

 集中集中、イメージイメージ。

 私はクリスタルに紋章に書かれている鷲をイメージしながら魔力を注ぐ。


「できた!」


 ローズのは誰がても鷲にえる、所々蒼に染められた鳥。

 そして私のは……。


「シビルの所の紋章ってこんな鷲だったっけ……?」


 一見、鳥で有る事には間違いないのだが、鷲と言われると首をかしげざるを得ない、紅い鳥だった。

 うー。頭の中でイメージがちょっと崩れちゃった……。

 で、でもこれはこれで結構かわいいんじゃない?


「ローズのは鷲か、蒼い鷲とはなかなかに派手だな。そしてシビル、その鳥はなんだ?」


「私のも鷲です……。紋章の紅い鷲をイメージしたんですが……」


「そ、そうか……」


 ちょっとチャールズ、そしてローズも!

 なんで可哀そうな娘をるようなで私をみるの?

 これはこれで可愛いじゃない!……可愛いよね?


「ま、まぁ、騎獣マウントは騎乗して移動できればなんでもいいが……。じゃローズ、シビル。自分の造った騎獣マウントに乗ってろ」


 私達は作成した騎獣マウントに恐る恐る騎乗する。

 きゅ、急に動いたりしないね……。


 鷲に跨る形のほうが乗りやすいと思うのだが、あいにくと私達はドレス姿なので横乗りをして首のあたりをしっかりとつかむ。

 そしてチャールズに言われるがまま、少しづつ魔力を込めながら動くように念じると、


「あ、動いた!」


 騎獣マウントが足を使って地上をノソノソと動き始めた。

 暫くは地面をトコトコと駆け回らさせていたが、チャールズに言われ、思い切って「飛んで!」と念じると、


「うわー、浮いたー」


 バサバサと羽を羽ばたかせ、お互いの騎獣マウントが空中に浮き、そのまま少しづつ高さを上げていく。


「よし、今日はこの辺りにしておこう、二人とも降りるんだ」


「えー!もっと乗っていたい~」


「ダメだ、今日はもう大分魔力を使っただろう?騎獣マウントを動かすにもそれなりの魔力がいる。空中を飛んでる最中に魔力枯渇をおこしたら大変な事になってしまうぞ」


 私とローズはシブシブと言った感じで騎獣マウントを地面に降ろすと消した。


騎獣マウントの細かい操作は練習が必要だ。これも他の魔法マジックと同じく日々練習するように。それと自信をもって大丈夫と思えるまでは絶対に高度を上げない事だ。……転落して大けがをしたり死ぬものも多いからな。あとは次からは手綱たづなや鞍もイメージして作成した方が良い」


 私とローズは分かりました、と頷く。


「では退屈な誕生会バースディパーティーに戻るとしようか。今頃は伯爵が君たちの事を探し回っているかもしれないぞ」


 そう言ってチャールズはハハハと笑った。

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