表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/72

11 マクミラン家の誕生会

 登場人物紹介

 シビル・マクミラン……主人公。マクミラン伯爵の三女。十歳。

 ローズ・コーンウェル……主人公の親戚。コーンウェル侯爵の娘。十二歳。

 マクミラン伯爵……主人公の父親。

 メアリー・マクミラン……主人公の姉。マクミラン伯爵の長女。二十一歳。

 イーディス・マクミラン……主人公の姉。マクミラン伯爵の次女。二十歳。

 ジェームズ・マクミラン……主人公の親戚。現在の所、伯爵の跡継ぎ。

 パトリック・マクミラン……主人公の親戚。ジェームズの息子。メアリーの婚約者フィアンセ

 アール公爵……メアリーの事が好き。

 イブリン・ヘルソン……ヘルソン子爵の跡継ぎ。王宮に出仕している。メアリーの事が好き。

 チャールズ・ブランドル……イブリンの知り合い。平民。






§ § §






 今日は伯爵()誕生会バースディパーティー

 当然招待客もいっぱい!

 親族のみならず、伯爵()と関連の深い貴族ばかりか、関連は薄いが伯爵家と縁を繋ぎたい貴族までそれは大勢来る。

 その準備に伯爵家うちではここ数日の間、てんやわんやとしていた。


 とは言え、私は特に何か特別な準備をしたわけじゃないけれど。


「ローズあれは誰?」


「ん、どれ?」


「ほら、メアリー(お姉様)と話してる」


「あ……、あれはアール公爵よ」


「公爵?ふーん」


「アール公爵もメアリーに夢中みたいね」


「そうなの?でもメアリー(お姉様)婚約者フィアンセが……」


 そうなのだ、メアリー(お姉様)には婚約者フィアンセがいる。

 親戚のパトリック・マクミランだ。

 パトリックの父である。ジェームズは伯爵()従兄弟(先代伯爵の弟の息子)で、現在の所、伯爵()に何かあったら、次の伯爵になる人だ。

 メアリー(お姉様)を嫁がせれば、メアリー(お姉様)の生んだ男の子が次代の伯爵を継承するので、結果的に伯爵()の血を引くものが伯爵になる事ができる。

 また、残された私達も無碍むげな扱いはされないだろうとの憶測が働いているのだろう。


「うーん、でもこういったらなんだけどメアリーはこの婚約には乗り気じゃないみたいよ。ホラ、向こうから来る人、あの人もメアリーのこと好きみたいだし」


「あれは……」


 あれは知ってる、うちで何度もかけた事あるしね。


「イブリン・ヘルソン……」


「おっと、パトリックも来たわね!メアリーをめぐる男達。さてさて、視物みものよ~」


 ローズはクスクスを笑いながらメアリー(お姉様)達の様子を遠巻きにている。

 傍目からでも剣呑けんのんな雰囲気をて取れる。


「おっと!ここでイーディスの割り込み?いよいよ面白くなってきたわ!」


 次女のイーディスお姉様は何かというとメアリーお姉様と張り合っていて、口を開くたびに衝突が絶えない。

 普段は伯爵()伯爵夫人()が騒ぎが大きくなる前に停めているのだけれど。


 案の定、二人は男達をそっちのけで口論を始め、その声が徐々に大きくなり、他の招待客も注目し始める。

 と、そこへ伯爵夫人()を連れた伯爵()が止めにはいり、そして二人はプイっと別々に何処かへ立ち去ってしまった。

 男達は勿論もちろん置いてきぼりだ。


「残念!終わっちゃった。あの二人は相変わらずねぇ~」


 クスクスと笑いながらローズは言う。


「いつもそうだよね、なんであの二人は仲が悪いんだろう?」


「さぁ?シビルが分からないのに私が分かるわけないでしょ」


 それもそうだね、などどローズと話していると、突然男の人から声を掛けられた。


「これは、レディ・ローズ、そしてレディ・シビル、久しぶりだね」


「貴方は…!」


「忘れてしまったかな?チャールズ・ブランドルだよ」


「いえ、忘れてはいません……。伯爵(お父様)誕生会バースディパーティーにようこそ、チャールズ様」


「チャールズ様、ごきげんよう。お久しぶりでございます」


 ローズと私はスカートの裾を両手で軽くつまみ上げると、腰と膝を曲げて挨拶をする。


「私は平民だと言っただろう?そうかしこまる必要はない」


「そんなの関係ございませんわ。貴方(チャールズ様)は、私達の魔法マジック師匠マスター同然ですもの。そうよね?シビル」


「はい」


 私はコクコクとうなずく。


「そういってくれると私もうれしいな」


「ところで……今日はどうして伯爵の誕生会バースディパーティーに出席を?」


「イブリンの付き添いだよ、どうやら彼はメアリーにご執心でね」


 と、言ってチャールズは軽く肩を窄めた。

 私達はハハハと苦笑いする。


「ところで君たち、魔法マジックの鍛錬は欠かさずやっていたかな?」


勿論もちろんです。私達の成長をたら、チャールズ様もきっとびっくりなさるわ」


「ほぅ~。レディ・ローズ、それは楽しみだね。それでは君たちの師匠マスターとして拝見させてもらうかな」


 私達は誕生会バースディパーティーをコッソリと抜け出すと、いつも魔法マジックの練習をしている庭園ガーデン建物フォリーへと場所を移す。


「では、早速視せてもらおうかな」


 私達はコクンと頷いた。






§ § §






「ほぅ……。まさかここまでとは……」


 一通り私達の魔法マジックチャールズは軽く驚いているようだった。


「同時に使える数もシビルは三つか」


 と、感心したように目を細めると「これは教えがいがあるという物だな」と小さくつぶやく。


「二人は騎獣マウントという物を知っているかな?」


騎獣マウント?いえ……」


 二人して首を振る。


 チャールズは懐から拳ほどの大きさになる茶色のクリスタルを取り出した。


「これは大地ジオのクリスタル、という物だ。これに魔力を与える事によって、騎乗できる乗り物に変化させる。……まぁ、一度視てみた方が分かりやすいか」


 チャールズは手に持った大地ジオのクリスタルを握り締めるとクリスタルは急激に大きさを変え、十数秒には極楽鳥と言われる大鳥へと変化を遂げた。

 そしてそれにさっそうと飛び乗る。


「こんな感じだ。次は君たちの番だな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ