眼鏡キャラが眼鏡を外す理由
唐突に書きたくなった恋愛ものです。短め。
私は眼鏡キャラが大好きだ。
インテリ、腹黒、真面目、爽やか。
属性は色々あるけれど、どれも全部大好き。
特にはまっているのは、大人気ゲームアプリ、俺カノドキドキ学園生活というコテコテの恋愛ものにでてくる正統派腹黒イケメン副会長の銀崎氷河くん。
銀縁眼鏡がすっごく似合ってて素敵なんだよね。
声も有名声優さんが担当してるから、すごいイケボ。特にスチルの時なんて、脳から首の後ろの神経が痺れて腰にくるくらいエロい声してる。最高、もっとやって。
そういえは、同じクラスの田中くんもいい声してるんだよね。眼鏡かけてないけど。
でも、そんな大好きな銀崎くんのことで、一つだけ残念な事がある。何故か全部のスチルで眼鏡を外してしまうのだ。1番かっこいい時こそ、眼鏡をかけててほしいのに。なんでなんだろう。好きだから、続けるし、次のイベントも走り続けるつもりだけど。そろそろ彼の誕生日だから、新しいSSRがきっとくる。彼主体のイベントとか楽しみでしかない。近いテストもないし、3時間睡眠でいくぞ。
〜〜
「蒼ちゃん、おはよう!すごく眠そうだけど、またイベント?」
「おはよう、蘭ちゃん。そうだよー!推しの誕生日イベントだし、SSRめちゃくちゃ欲しいから頑張ってるの。」
「推しのイベント頑張る気持ちはわかるけど、ほどほどにしなよ。それに、スマホ見ながら歩いてると転んじゃうよ。」
「心配してくれてありがとねー。でもこの年になって転ばないよ。じゃあね。」
「蒼ちゃん、前!」
踏み出した場所に床がなかった。下は、階段だった。身体が前のめりに倒れていく。
(やばい。このまま倒れる……。)
思わずぎゅっと目を瞑る。
「……大丈夫?」
誰かに身体を抱きしめられられた。良かった、だれか受け止めてくれたみたい。安心して、目を開ける。
「……誰?」
「あはは。お礼とかじゃないんだ。」
目の前に推しがいた。銀髪じゃなくて、黒髪だけど声もそっくり。私を助けるためにアプリからでてきた?やばい。思考が停止してる。ていうか、身体、抱きしめられて。体温があったかいし、顔が近い。なんかいい匂いする。
「ごめんね、階段から落ちてびっくりしたよね。同じクラスの田中だよ。」
抱きしめられたままだから、顔近い。え、こんなイケメンクラスにいたっけ?ていうか、田中くん??
「あ、あ、あ、ありがとう。大丈夫だよ。近いからちょっと離して。」
「あ、そっか。離すね。」
田中くんは、直ぐに離してくれた。ちょっと勿体無いことしたかな。田中くんってこんなイケメンだったっけ。銀縁眼鏡が似合う人なかなかいないのに。ぽかんと、田中くんをガン見してしまう。
「ナイス田中。さすがゴールキーパー。よかった、蒼ちゃんが落ちちゃわなくて。」
蘭ちゃんが走って様子を見に来てくれたみたいだ。下駄箱からそこそこ距離あるのに、流石陸上部。安心したからか、足の力が抜けそう。あんまり寝てないからふらふらするし。
「でしょ。ナイスセーブ、俺。森さん、危ないよ。まだ、ふらふらしてるし。俺、保健室までついていくから、一緒に行こう。」
「さっきより、顔色悪いし、蒼ちゃんそうした方がいいと思う。」
田中くんも蘭ちゃんも心配してくれて優しいな。身体に力入らないし、お言葉に甘えさせてもらおう。
「ごめんね。一緒に保健室に行って欲しい。」
「了解。じゃあ、俺の肩とかでいいからしっかりつかまってて。」
私は、左手で彼の右肩に捕まり、右手で手すりを掴んだ。
ゆっくりしたスピードで下に降りてくれる。
「本当にありがと。田中くんって、眼鏡かけてたっけ?」
「朝練してたら、片方コンタクト外れちゃったんだよね。だから、今日だけ、眼鏡。」
「今日だけなの?勿体無い。眼鏡似合ってるのに。」
「森さんは、眼鏡の方が好きなの?」
「うん。私、眼鏡大好きだから。」
「そうなんだ、珍しいね。」
「そうかな、眼鏡好きって結構いると思うけど。」
「ふーん。じゃあ、俺、普段は眼鏡にしようかな。」
「いいと思う!似合うし。」
よし、同じクラスに目の保養ゲット。イケメンは、みんな眼鏡をかけて、私の目の保養になって欲しい。それに、田中くんは、特に推しに似てるから。見れば見る程、好きな顔だわ。
「そんなに見つめられると照れるな。」
「あ、ごめん。」
あまりにも、好きすぎる顔だから、話さずに顔ばっかり見ちゃった。無言で、顔見つめるとかやばいやつだな、私。
「大丈夫だけど、そんなに見るってことは俺の顔に何かついてる?」
「イケメンだったから、目の保養にしてた。」
「何それ。森さんてこんなに面白かったんだね。」
「私も、田中くんが、こんなにイケメンだと思ってなかった。」
「……さっきから、褒めすぎじゃない?俺、くどかれてる?」
「ち、違うし!」
「そう。保健室着いたよ。」
ガララ。
「先生、階段で転びそうになった子を連れてきましたって、誰もいないじゃん。とりあえず、森さんは寝てていいと思うよ。保健室の先生には言っとくね。」
ぽすんとベッドサイドに座らせてくれる。
田中くんは、机の上においてあったメモ用紙をちぎると、ボールペンで何か描き始めた。
「よし、これで大丈夫だと思うよ。」
田中くんはカーテンをひっぱり、テープで外側にくっつけた。
「なんて書いたの?」
「あー、2-E女子貧血でベット使用中って書いといた。この間いない時に、サッカーボールが頭にあたって気絶したやつも紙貼っといたら平気だったから、大丈夫だと思うよ。」
「そうなんだ。」
重症度違うと思うけど、大丈夫かな。
「とりあえず、横になった方がいいと思うよ。」
「うん。」
保健室のベットってなんか不思議な匂いするよね。あんまり好きじゃない。というか、この角度、私の顎二重アゴな気がする。見られたくないな。シーツを口までひっぱりあげる。
「……田中くん、どうしたの?」
「……あっ。なんでもないよ。じゃあ、俺行くね。」
(田中くん、行っちゃうのか。)
「……裾掴まれてると、行けないよ。」
「あ、ごめんね。」
無意識に、田中くんの裾を掴んでた。
「……俺のこと好きなの?」
「え、好きだけど。」
(その眼鏡、最高。)
「……そう。」
ちゅ。
「えっ。」
キス、された。唇に。田中くんの顔が近づいてきて。というか、その前。なんで眼鏡外したの??
「なんで、眼鏡外したの??」
「キスした理由とかじゃないんだ。本当に森さんは面白いな。」
目の前の田中くんの顔は、真っ赤だ。眼鏡は外したまま。
「森さん、知らないの?眼鏡つけたままだと、眼鏡が邪魔でキスできないんだよ。正面からじゃ、鼻が邪魔でキスできないのと同じ。今くらいの軽いのだと、できなくもないけど。深いやつだと無理だね。でも、そっか。その質問するってことは、俺とが初めてってことか。」
目の前の田中くんは嬉しそうに笑ってる。
そっか、キスする時、邪魔なのか。それでスチルの銀崎くんも眼鏡とってたのか。なるほど。知らなかった。
「試しに深いのもしてみる?」
「……うん。」
なるほど。確かにこれは邪魔だな。
どこまで書くと月の光の下に行かなきゃ行けないかわからなかったので、とりあえず軽めにしか書いてません。男子目線あるけど、書こうか迷ってます。