2ヶ月
おかしい。ここ数日の記憶が無いのだ。確かに自分は忘れっぽいが、流石に日付が跳躍していたら違和感ぐらいはある。
とはいえ、2か月祝いの両親のお祭り騒ぎぶりを前にしては、そんなものは些事だろう。実は先程、首が据わっていることが判明したのだ。土曜日ということもあり、あまりに嬉しかったのか遂にお酒を解禁して、アパートなので声は抑え目に騒いでいる。父親はドンキで買ったヘリウムガスを母親に半ば無理やり吸わせて遊んでいる。学生みたいだ。自分が寝たら収まるだろうか。
母親は最近少しずつ、子供が将来的に同学年になるであろうアパートの住人と話すようになった。ゴミ出しにたまたま自分を抱いていった時、同じような状況のその人に会ったのである。そちらは男の子で、次男のようだ。その人(常田という)には時々子育てのアドバイスを貰っていて、なぜか自分まで勉強になる(いくつかは、見た目は赤ん坊頭脳はおっさんの紗夜さんには効果が薄いものもあるが)。
自分自身のことで言えば、最近になってかなり視界がはっきりしてきて、自分が伸ばした手の指先程度なら見えるようになった。当たり前だが、手はすごく小さい。生前は指が短くギターの練習にかなり苦労したから、今のうちに引っ張って伸ばしておこう。体が柔らかいのも今のうちだけだし、関節に関する変な特技でも練習しようか。親指が手首に付く、みたいな。