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第一話 目覚め
瞼が重くて目が開かない。
体に力が全く入らない。
心音が速い。呼吸が速い。
周りは暖かいのだが、...何故だかとても、心細い。
意識は鮮明ではない。まるで高熱にうかされているようだ。
なんとか目を開けた。しかし、視力が低いようで、明暗の区別がやっとだ。まだ状況は把握できないが、周りの音や声を聞く限り、ここが病院であることは確かだろう。
自分は死んではいない...のだろうか。
不意にガタゴトと音がして、少し感覚の違う空気が頬を撫でる。
首元、そして尻の下辺りに異物が蠢いて、程なく自分は重力に逆らって持ち上げられた。安定感に欠ける格好だが、不思議なことに先刻まで感じていた漠然とした心細さは解消された。
自分はようやく、自らの置かれている状況を把握した。自分はもはや、病に侵され呼吸もままならぬような、人間と呼ぶに相応しくないモノではない。全く新しい、希望に満ち溢れた生命となったのだ、と。
所謂、転生である。