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あれは、そこにあった物は。
私の気まぐれで書いた物語ですので、どうか期待せずお楽しみください。
「あ。」
そこにあったはずの言葉を思い出そうとする。どこに行ったんだろう。確かに少し前までそこにあったことを憶えている。どうしてもそれに触れてみたい、とその言葉を物のように人のように考えていた。
「この世なんて思い通りに行かないことの集合体だよ。」
ああ、これははっきりと憶えている。あいつの言葉だ。『思い通り』に行かないことなんてわかってる。だから思い通りに行かないことを思い通りに行ったと思えば少しは心が楽になるだろうから、もう少しその場所で待っていてください。きっと触れてみせますよ。あなたという言葉に。