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幕間 【 】
目覚めたとき、いや、目覚める前から僕のあるべき姿は決まっていた。
そして、あるべき姿を得た時、僕は成すべきことも得ていた。
深くて冷たい地の底で、すでに世界がとても美しいことを知っていた。光溢れる世界の鮮やかな美麗や、闇に浮かぶ耽美なる神秘の陰影。
見たことのない、けれど鮮烈に浮かぶ断片の光景が、僕に世界を渇望させた。だから、眼前に広がる華園を目にしたとき、当然のように僕は涙を零したのだ。胸を埋め尽くしていたのは、感動と、歓喜と、そして深い絶望。
生まれ出でた時、僕は多くのモノを得ていたけれど、とても大切なものもまた失われていたことを知っていた。
僕が呑んだ、実体なき器が亡失したもの。
影の虚像が求めている、失われた【 】
絶対の欠落感が、この胸を満たす。
いいよ。見つけてあげる。きっと僕にも必要なものだから。
このままじゃ、僕は、何を得ても、何を見ても決して満たされることはないだろう。
会いたいよ。
だから、ねぇ、迎えに行くよ。
そして、一緒になろう。だって、きっと素晴らしい事だから。
僕の、大切な、大好きな、お父様ぁ―――