安易に将来を約束するものではない
初めての執筆なので細かいことは気にしないでください(土下座)
「久しぶり。今日から俺の彼女だよ。」
青天の霹靂とはまさにこのことだ。
…
大学3年の冬休み初日。バイト帰りの私は、クリスマス間近で浮かれた街並みを横目に、家路を急いでいた。
ネイビーのロングコートに両手をつっこみ、マフラーに顔半分を埋めながら俯きがちに歩いていた。そんな私の目の前にサッと影が落ちたので、ふと顔を上げてみた。
そこには長身の、えらいスタイルの良い男の子が、にっこりと微笑みながらこちらを見つめていた。
全体的に色素が薄いのか、色白ですべすべした肌に、髪と瞳は透き通ったような茶色だった。切れ長な目や高い鼻、顎の輪郭はシャープなのにどこか柔らかい雰囲気を持つ彼は、私と目が合うなり、そこらの女の子が卒倒しそうなほど甘ったるく、ふにゃっと破顔した。何だろう、この笑顔、見たことがある気がする…。
「……? あの、」
見覚えはないがどこか懐かしい気持ちのするその美少年に話しかけようとした。
「久しぶり。今日から俺の彼女だよ。」
まるで、今日も寒いですね、とでも言うようなさらっとした口調で、とんでもないことを言い出したのだ。
こんな美少年が、何の変哲もないような女にこんなことを言うなんて、冗談なのだろうか?
何かのドッキリか?とも思ったが、芸能人でもあるまいし、と考え直す。
困惑したまま何も言えずにいる私に、彼はちょっと焦った様子でまた話しかけた。
「もしかして…僕のこと忘れちゃったの? 蓮だよ、羽柴蓮。」
ハシバ レン・・・・・
自身の20年間の記憶を探り始め、8年前の記憶に辿り着く。
「れん…くん? お隣の?」
「思い出してくれた?やっと会えたね、咲希ちゃん。」
蜂蜜でも垂れ流したかのような甘ったるい笑顔で私の顔を覗き込む。
視界が暗くなったな、と感じた時には時に既に遅し。
事もあろうに、私は8年ぶりの再会を果たした幼なじみに、キスされていた。