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並行異世界ストレイド  作者: 機刈二暮
[第一二章]The torch shines on the frontlines
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補間:残り僅かの会話




「これでよかったのですか? エルネスティーネ少将」


「やり残したことや、思い残すことがないなんてことはないわヨナタン。やるべきことはまだまだたくさんあった。ストラスールのアリア・シェーンフィルダーが率いる穏健派との交渉はまだ半端だし、ヴィルヘルムの暗殺は出来なかったし」


「あなたが個人的に警戒していた《白魔女》は?」


「《白魔女》? さっきの通信でわかったのはその人がどうやらチハヤユウキだってことぐらいね」


「声でわかりましたか」


「ええ。生きてればいい、皇国での戦争で追い返してくれればいい程度の策だったけど、まさか《ウォースパイト》と共にここまで来るなんてね。―――あの子が破壊者なのか、それとも守護者なのか。どっちなのかを見極めるには時間が無かったから、なんとも」


「そうですか。不安だらけですね」


「ええ。―――ああ、本当に心残りばかりが出てくるわヨナタン。成長してるだろうコトネにも会いたかったわ」


「同感です。アリア殿下の話では役立っておられるようですし……。きっと、立派になられているかと」


「いつか再会できると思っていたのに……。それよりも先に殺されるとは夢にも思わなかったわ。―――けど、出来るだけ。やれることだけはやったと、自負してるわ。あとは委員会に任せるしかないのは、不安だけど」


「保険があってもですか?」


「ええ。委員会が逆転できる策を仕込んでいても、ね。その結果である、私の家族を暗殺した奴らの敗北した時の顔を拝めないのが残念」


「それはそうですなぁ。犯人は全員わかったのに。旦那様―――いえ、カールの仇ぐらいはこの手で討ちたかった」


「遅かったわね」


「ええ。一歩、私達が遅かった。―――でも、あなたの策略の方が何枚も上手だ。奴らばきっと悔しい顔をすることでしょう」


「見たかったわねぇ、その顔」


「全くです。十年前の出来のいい我が領地のワインを片手に見たかったものです」


「相変わらずいい趣味してるわよね、ヨナタン」


「いえいえ。少将と比べれば私の趣向など可愛いものです。数多の人間を知らず知らずのうちに地獄に送っていくあなたと比べれば」


「失礼しちゃうわ―――って、そろそろかしら?」


「……時間を考えれば、そろそろですかな」


「意外にも早く来たわね、この瞬間。退屈しなくて助かるわ」


「……エルネスティーネ」


「……何かしら、ヨナ」


「充実した人生でした。友人として、復讐者の輩として共に戦えた事を誇りに思いますよ」


「ええ、私の復讐に付き合ってくれてありがとう。今からの旅路も、よろしく―――」




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