どうして
私は、貴方が好きでした。
最初、出会った時はそれこそ性別すら間違えたけど、貴方が気になりました。
私の『夢』を笑わず聞いてくれて、応援してくれた貴方が好きでした。
告白を受けても、傷つけない断り方が素敵でした。
だから、私は貴方の事が好きでした。
―――でも。
「ウソ……でしょう……」
目の前にいる貴方は、本当に貴方ですか?
常に穏やかな笑みを崩さない貴方の目は優しかったのに。
何故、今の貴方の目はそんなに無気力な、死んだ目をしているのですか?
先ほど私の、この世界で初めての、かけがえのない友人を殺して何とも思ってないようなその態度は?
そして、私へと向けている“それ”はなんですか。
いえ、“それ”が何かはわかってる。
私も、軍人へとなったのだから。
でもそれ以前に私は、自分の夢を叶え、一人の人間に恋した少女なのだから、口にしたくなる。
「……殺す……の……ですか?」
好きですと告白したその人を。
貴方は―――。
―――嘘だ。
貴方は、先輩はそんな事を言わないし、こんな事出来ない人でしょう?
―――――。
そんな、先輩は、そんな人じゃない。
先輩は人を殺せる人じゃない。
先輩は誰よりも人が好きな人だ。
先輩は、人を殺したくない人だ。
――――。
嘘。
やめて。
貴方は、好きと言った人を殺せるんですか?
そんな貴方は、先輩じゃない。
先輩の皮を被った化け物だ。
――――。
貴方なんか―――――。