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俺がリンドウ?

 ここは最南端の和の島ミナミの村。そこに住む少年トウヤが旅立つところから冒険は始まる。こんな中二病感満載の小説を書くようになったのは三年前俺が高校に入ってからのことだった。


その時の俺はちょうどアニメにどっぷりはまってしまっていて俺の右手には何か宿っていると思っていた。そんなときに書き始めたのがこの小説だ。


高校に入りさすがに右手に何も宿っていないことに気が付いてからも習慣で書き続けている。そのせいであんなことになるなんて思ってもいなかった。

俺がいつものように普通に学校へ行って授業を受けてヲタク友達と他愛もない話をして家に帰ってきた。ここまではいつも通りだった。いつもなら家へ帰ってきたらすぐに小説を書き始めるのだがその日は妙に眠くて家に着くなりすぐに寝てしまった。そして俺が目を覚ますといつもと違う天井で目を覚ました。

「ここは、どこだ」

初めて見る天井、そして寝心地最悪の薄い布団。

これは夢の中なのか。そう思って俺は頬をつねってみたが普通に痛い。夢では無いようだ。なおさらわからない。そう思っていると下の方から誰かが階段を駆け上がってくる音がする。おかしいな俺んちマンションなんだけど。足音がどんどん近づいてきて俺の部屋の前で止まった。それと同時に思いきりドアが蹴り開けられた。そこにいたのは金髪の中学生くらいの女の子が立っている。もちろん俺は日本人だからこんな子は知らない。しかし女の子は俺に近づくなり驚きの言葉をきれいな口から紡ぎだした。

「お兄ちゃん、、、朝だよ、おきて。」

金髪美少女は消えいりそうな小さな声でだが確実にいった。「お兄ちゃん」とそれは世の男なら一度は妄想したことがあるだろ。金髪美少女妹の寝起きからのお兄ちゃん。俺が歓喜に震えていると金髪の少女は俺の手を引きながら早く下に行くよと言った。彼女の言葉に従い俺は見たことない階段を駆け下りて下の階の部屋に降りるとそこにも当然見たことない木の机と椅子が二つあるだけの部屋に着く。どうやらここはリビングのようだ。リビングと言ってもⅠHのコンロがあるわけではなく大きなかまどが一つあるだけのお粗末なもだった。

「はやく、、、座って。覚めちゃうから。」

ま、ま、まさかこれは妹の手料理。今世では味わうことは絶対になかったものを味わえるなんて。しかし俺はここで眠っていた頭がゆっくりと冷めてきて思考が冷静になっていた。ここはどこだ。「俺は武島武道高校三年生・父・母・俺の三人暮らしのはず。なのにここには妹がいる。おかしい。

「ここはどこなんだぁーーーーーー」

俺は冷静になった頭が一気に興奮した。

「な、な、なに。急に・・・」

急に大きな声を出してしまったので金髪の少女を驚かせてしまった。

「ごめん。ちょっと寝ぼけてて。あははは」

俺は何とか笑ってごまかしたが頭の中はまだパニックなったままだ。

「もう。はやく食べて。リンドウお兄ちゃん」

リンドウ?俺の名前は武道だぞ。でもリンドウという名前はにはなんとなく聞き覚えがある。なんだっけなーえーっと。あ!思い出した俺の小説のキャラ雨宮竜胆だ。たしか主人公トウヤの親友で村一番の剣の使い手だけど村を襲った敵の帝国の刺客からトウヤを守って死ぬんだっけ。えっ。まってそのリンドウが俺ってことは俺死ぬじゃんやばくね。それ。

「ありえねーだろぉーーーーーー」

本日に二回目の大声を出してしまった。

「お~に~ぃ~ちゃ~ん」

金髪美少女が手に竹刀を持って俺のことをにらんでいる。たしか竜胆の妹の名前はシスイ。水の魔法の使い手で剣の腕もよく魔法剣で主人公の手助けをする最強のキャラだ。確か主人公のパーティに入った理由はお兄ちゃんの敵討ちだったな。ほんとはお兄ちゃん子のはずだ。

「シ、シスイやめてくれ」

俺の言葉に耳を貸すことはなくエイッと竹刀を振り下ろした。その竹刀は綺麗に俺の脳天を捉えた。

「お、お兄ちゃんが驚かすから悪い。で、でもごめんね・・・」

こんな設定あったけな。そもそもリンドウは武骨で筋肉隆々とした男臭いキャラだからほんとの俺とは正反対だ。ホントの俺は色白で線が細いひ弱な男子だ。それにしてもツンデレ妹いいな。かわいい。

「いや、俺の方こそ驚かせてごめんね」

てかこの状況になじみつつある俺が怖いよ。

「わ、わかったら早く食べてください。もうそろそろトウヤさん来ますよ。」

たしかトウヤと近くの山に行っている間に村が襲われるんだったな。さて俺が息のころためには逃げるのが一番なんだけどそれじゃ村の人間が殺されちまうしな。いつ帰れるかわからない以上生活拠点を失うのは避けたいところだし。うーん。てか俺強いんだし俺が警戒してれば勝てるんじゃね。よしそれで行こう。

「そうだな。確か裏の山に行くんだったな」

俺の答えを聞いたシスイはきょとんした顔で俺を見る。

「違いますよ。今日はうちの道場で剣の稽古です。もぉ~まだ寝ぼけてるんですか」

俺が書いた話では裏山に行くはずなんだけな。俺に変わったことでなにか変ってしまったのか。

「そうみたいだな。ゴメン」

そんなやり取りをしていると隙間風が通りまくりの木のドアをノックする音が聞こえてきた。

「ど、どうぞ」

怒っていないの時のシスイは大人しくて人見知りのようだ。その消え入りそうな小さな声にドアの向こうの人間は反応して中に入ってきた。

「おはよー」

そこに立っていたのは茶髪のチャラそうな青年が立っていた。どうやらこれがトウヤらしい。俺のイメージではメガネで弱そうなイメージだったのに。がっかり。

「お、おはようございます。今日も時間どおりですね」

どうやらトウヤは見た目に反して真面目な性格らしい。まあ主人公だしな。

「ま、まあね。ぼ、ぼくも強くなりた、たいから」

見た目にあわず声が高くシスイより言葉に詰まるなんなんだよ。

「よし、強くなりたいなら山にイノシシ狩りに行こうぜ」

この提案が通れば小説通り進めるはず。

「お~に~ぃ~ちゃ~ん。さっきも言ったよね。今日は道場で稽古。イノシシ狩りなんて危ないからダメ」

ですよね~道場で稽古してても敵攻めてくるかなー。

「よし!そうと決まれば早く稽古しよう」

俺はシスイの作った雑炊のようなものを一気に平らげ立ち上がった。

「もぅ~せっかちですね」

シスイに呆れられたが俺は気にしない。

 道場に着くと俺たちはまず胴着を着た。日本の剣道のスタイルに似ているが面はつけていない。あと剣が竹刀からから木刀に代わっている。

「で、では素振り百回ですっ」

百は無理だろう。なんせ俺は剣初心者だし。しかも俺運動苦手なんだよな。

「は、はい」

このくそ真面目が。トウヤがやり始めたのをみて俺は仕方なく素振り千回を始めた。開始して一分回数に五十くらいだろうかトウヤがギブアップした。当の俺はまったく疲れていない。体が剣を知っているという感覚だ。

おいおい。そんなんじゃ強くなれないぞ~」

イケメンに勝ったことが何よりうれしかったのでとりあえず嫌味を言っておいた。

「い、いじわる言っちゃだめですよ」

シスイが俺を咎める。

「く、くそ~」

トウヤはそういって走って道場を出て行ったこれは山に行くなと思った俺はトウヤの後をシスイと追うことになった。

「もうお兄ちゃんのせいですからね」

ヒスイは頬を膨らませて怒っている。さっきは気付かなかったけど金髪の胴着姿もなんかいいな。

「ごめんなーとりあえずトウヤの家に行こう。案内してくれ」

家に居られたら困るけどいきなり山になんていっても許してくれないだろうし。

「わかりました。こっちです」

すぐ隣じゃねーかよ。俺の家と同じような木造建築のボロ家だった。ドアをノックすると中からシスイと同い年くらいの女の子が出てきた。確かトウヤの妹のスズネだ。この子は小説の中ではヒーラーとしてついてくるはずなんだけど基本的にキャラが薄い。唯一シスイと仲が良いということだけしか覚えていない。

「スーちゃんトウヤ君いる?」

やっぱり仲が良いようだ。

「にいならさっき泣きながら帰ってきたよ」

マジかよ。家にいんのかよ。

「そうか。ならいいんだ。帰ろうシスイ」

俺はがっかり感を隠せなかった。なるべく小説どおりに進めないと展開が読めない。しかも下手すりゃ俺は死ぬんだから。ヒスイに怒られると思ったがそういうこともなくスズネにトウヤ君のことお願いねとだけ伝えると俺についてきた。

「さぁ兄さんは素振り千回です」

道場に帰ってきた俺は怒られる代わりに素振りをさせられている。無論トウヤの分まで。

素振りを終えて家に帰ると晩飯も食わずに俺は寝てしまった。

結局その日の夜敵が俺たちの村を襲うことはなかった。

 

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