三十路の魔法少女は迷宮入り
ぱんぱかぱーん!
めずらしく、残業もなく住み慣れた1LDKの我が家の部屋を開けると色とりどりの紙吹雪と高らかなファンファーレが私を出迎えた。
「おめでとうございます!高道真佐子様!あなたは夢と希望の使者に選ばれました!」
私の部屋のリビングの真ん中に後光が射し込まんばかりにキラキラと輝いた少年が立ち私にそう告げた。
不法侵入ですか?
「いえいえ、違います。不法進入ではありませんよ。」
え?私、声に出したっけ?
「いえいえ、それも違います。僕があなたの思いを聞いただけ。因みに不法進入でない理由は此処は、あなたの部屋に見せかけた別空間だからです。」
「どういうこと?」
私の呟きを拾ったキラキラ少年が指を鳴らすと暗闇に星を撒き散らした様な宇宙空間が広がった。
ヤバい、訳解んなすぎてムカムカしてきた。吐きそう。血の気が引いて冷たくなった手をお腹に乗せる。
そんな私に気づかないのかキラキラ少年は楽しそうに話を続けた。
「まぁ、大抵の人はいきなり、こんなところに連れて来られたらパニックになっちゃうから慣れた場所の方が良いと思って!」
サービスだよ、と益々声が弾んできた。
「なんで?」
違う、そんな事が聞きたいんじゃない。でもこれ以上口を開くと胃の中の物がでてくる。
思いが分かると言ったのにキラキラ少年は私の状態を知ってて無視してるのか読むのをやめたのかニコニコと明るい笑顔だ。
「それはね、僕が
此れから真佐子ちゃんを世界を救うヒーローに勧誘するからさ!」
僕は所謂セーラー服を来た少女達の黒猫で、ライダースーツを来た戦士のベルトなのさと言いつのるキラキラ少年を前に私はとうとう昼に食べた某チェーン店の一杯数百円の牛丼を口からぶちまけたのだった。
しかし、その時の私はまだ知らない。
齢30にもなってフリフリのミニスカを履き厨二病真っ最中なセリフを吐き、アイドルばりの決めポーズをとるハメになることを。
そうまだ、知らないのだ。
魔法少女入れ忘れてた。そしてゲロがフィナーレです。