序。
嘘幻憑き。
それは嘘を真実へと昇華させ“嘘幻”に魅入られた者たちの総称。
彼らはそれぞれの嘘幻に魅入られる原因となった嘘に関する力を行使することができる。
この物語はある一人の少年がついた嘘から始まる物語である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「なぁ、君は…。“ウソ”って信じる?」
そんな訳の分からないことを言いだしたのは、俺の隣に座るどこかミステリアスな雰囲気を持つ男である。
「はぁ?嘘を信じる?意味わかんねぇよ。だいたい嘘って分かってんだろ?なら信じる訳ないだろ。」
「だよね。」
そうやって気のない返事を返す男。
「でも、君は…。僕の嘘を信じてくれてるよ。」
そういって男は俺の前から去って行った。
「なんだ?あいつ、いきなり変なこと言ってきて。さっき自己紹介した時もよくわかんねーこと言ってたし。なーんか不思議な奴だよなー。」
その時の俺は、あのつかみどころのない男の言っていたことがよくわからなかった。
でも、今ならわかる。あいつは全部知っていたのだと。