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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
8/108

逃げるときに、後ろを振り向いてはならない

 逃げるときには後ろを振り向いてはならない。そんな言葉をどこかで聞いたのを、思い出していた。


「あと、28秒だ!」

 

「何がですかー?」


「不幸な時間だ!!だからがんばってはしれ! 」


 そう俺は度重なるこの呪いの、副作用を受け続けることでどの程度のことをすれば、何秒、不幸時間が来るかを把握していた。このくらいの手伝いなら、そのくらいの時間だ。


「わ、分かりましたー」


 だがそんなことを把握していても、魔獣の勢いは止まらない。

 林の中をつっきて逃げているので、木をなぎ倒しながら進む魔獣と5分5分といった所だが、

 

 どうやら林ももう終わりで校庭に出るらしい。どうせこれも偶然だはなく運悪くってやつだ。


 あと12秒。俺たちは校庭に出た。

 複数人、人がいるが運よく助けてもらえるなんてことは起こらない、これは確定だ。


「きゃぁ」


 サチが転んだ。

 俺は自分の命を投げだしてまで、他人を助けるような出来た人間じゃない。

 

 しかし、俺は、そいつの未来も、家族も、希望も、時間も、友情も、また、そのすべても、奪う覚悟も消す覚悟も、出来ちゃいない。もちろんこいつが能力者だというなら話は別だが。


 俺はその時、初めて魔獣を見た。全体的に青い犬って感じだ。牙が大きく、背中は青い焔に包まれている。


 なかなかかっこいいじゃないか。

 名前も知らないし、初めて見た。


 さすがにこれやったら、死ぬんじゃないか? こんな大それたことはじめてやるぜ。 


「な、なんで。」

 右半身を腕からガッツリかじられた。血が半端ないな、噴水のように出ている。

 だが、泣き叫ぶことはしない。痛いのは慣れてるしな。


「なんで助けるの。会ったばかりなのに、私、あなたの学園章持ってるんですよ!それに実はあなたより年上です!!」


 言ってることが支離滅裂だし。

 人を助けるのに理由なんていらないと、かっこよくいいたいが、俺に罪を着せ、暗闇の中に8年閉じ込めたあいつへのただの当て付けだ。普通の人間に罪は無いんだ。

 

 って言うか、やっぱりおれの学園章奪ったのお前かよ! 助けたのを公開しそうになるからそういう事言うのやめろ。


 最初、少し助けられたと思ったからこいつが持ってんだろうなぐらいで、取り返すのは、ちょっと遠慮してたのに!!


 まぁどっちにしろ俺はあいつから奪うつもりはなかったから、行動は変わらなかっただろうが。目的と手段を違える必要は無い。


「不幸時間はもうとっくに終わってるでしょ! なんでなんですか!」


 いや、普通の運に戻っただけで幸運になるってわけじゃないしな。


「もう、時間は終わってるのに何で、暴走をやめないの!!」


 なんでなんで五月蠅い奴だな。それに、


「お前の不幸時間は終わったが俺のは終わってない。お前が手伝ってない呪いもあるからな。あと、18秒はあるな。それに魔獣ってのは、獲物をしとめないと、消えないんだろ?」


 まあ、実際雑誌で読んだ情報だから本当のところは知らないんだが。


 その時、「おれ」の右腕は引きちぎられた。


 死ぬ時ってのはあまり怖くないって話を聞いていたんだが、これは怖いな。完全な無ってのは想像しただけで、怖い。

 それとも、まだ死ぬほどの傷じゃないから怖いんだろうか。

「うっ」

 そしてさすがに痛い。血も流しすぎたみたいだ。


 ※


「私はまだあなたの名前も聞いていないのに。」

 魔獣を消した後で、サチは呟く。

 私はもう不幸では無いらしい。

「粛清の時聖なるものも紺な、、、」

 

 ※

 

 そのあとの言葉はもう俺には届かなかった。血がないからってよりも痛すぎて気が遠くなる慣れててもこれは、無理だ。


 黒独 尊は、まぶたを閉じた。



、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、



「あ、これは死んだな。大量出血で助からない」




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