勝利? の代償
「あのー、腕って大丈夫なんですか?」
ふと、俺の腕についてサチが質問をしてきた。
まぁ当然だろう。制服が真っ赤になっている。
だが切り口がきれいすぎて逆に治りが早く心配はない。たぶん。
「問題ない、慣れているからな。」
これは強がりなどではなく、本当に慣れているのだ。俺は痛みには強い。
「本当に大丈夫ですか? 血はもう出てないみたいですけどそれ、絶対痛いですよね?」
確かに痛いがこの程度の痛みより、伝えなくてはいけないことがある。そして、このぐらいでへこたれていたら次は挫けてしまう。
「さて、人を呪わば穴二つという言葉を知ってるか。」
「あ、人を呪うと返ってくるってやつですよね。」
なかなか分かってるじゃないか、一般人には知られていない言葉だと思っていたが。
「そうだ。そしてさっき俺は緋色を呪い、それをお前は手伝った。」
呪いってなんですか? と聞いてくるがそんなことは関係ない。時間がないのだ。もうすぐ始まってしまう。というより俺はもう始まっているだろう。
「あのー、もしかしてさっきの緋色さんみたいになるんですか?」
惜しいな、発想は悪くない。
「少し違う。正直あんなもの比べ物にならない。」
そう、俺が痛みに慣れている理由はこれなのだから。
「お、驚かさないで下さいよ」
足を抑えるサキ。そんなに怯えなくともいい。あいつは大げさに反応していたが、実際やべ、足痺れた、ぐらいなのだから。
「いやまぁ、今回はそんなにひどくないだろうと思う」
「な、なんですか!」
「運が悪くなる」
「へ?」
いやいや、これは結構やばいと思うんだが。
「いや、運が悪くなるんだ」
「え、別にそんなこと」
全然どうってことないじゃないですかー、と言おうとしたサチの顔がどんどん青ざめていく。
「「ガルルル」」
なるほど、きっとおれの後ろにはきっと魔獣かなんかがいるんだろう。聞いたことのない鳴き声がするわけだし、大きな影が出来ている。
俺たちは全力疾走した。
サチも意外と足が速いんだな。ちょっと置いてかれ気味だ。運動不足がたたったか。
ここには、あらゆる超能力者、魔法使いがいる。運悪く何が起こるのかさすがにわからない。
ちなみに、不幸ってのがどのくらいのもんかというと、リアルに隕石落ちてくる。
まぁ行った呪いによって、程度も違うのだが。
生き残れるのかだけが心配である。
ちなみに今、どこからともなく炎の玉みたいなのが、頭にクリーンヒットしたが、そして、肩が痛すぎて気付かなかっただけで足からも頬からも血が出ている。気付かないうちに何かしらがクリーンヒットしていたんだろう。
絶対に俺は挫けない。