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挿話
「前、見えてる? 前髪長すぎだろ」
「それ、よく言われる」
「そうか、酸素を毒物に――<超科学|アンフェアサイエンス>」
とにかく逃げようと、ビル街を走っていて、白衣を着た敵チームであろう男の人と、曲がり角で使い古された運命的な出会いのようにぶつかった僕は、運が悪いに違いない。今日の正座占いは見てはいないが軒並みかに座12位だろう。
「……っ、モノクロジャッジ!」
霧が視界を覆うが毒だというなら息を吸わなければ、数秒は大丈夫だろう。数秒あれば手が届く、手が届けば僕の勝ちだ。
「超濃縮アンモニア、皮膚に付く微量な汗にも溶け、毛穴からも体を蝕む」
「「傭介くん、アウト。ランドに一ポイント」」
……駄目だった。それより何でちょっと放送がフレンドリーなんだ。