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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
57/108

何の問題もない有利不利


「今回は、いや、今回も!! この何よりも平等を愛する私がっ!!! このゲームをっ!!!! △×◎ぴ■9L」

 俺はよく覚えてないんだが、きっと月にも俺の考えてる事が読めるのだろうから言うんだし、間違ってたらお前が指摘してくれていい。こんな事を教頭は言っていたはずだ。果たして平等を喫したゲームとは、どんなゲームのことを言うんだろうか。今回のゲームは参加者が多かったらしい。まぁ、Sクラスの奴らが一人で一チーム作るとかが恒例みたいになってるらしいし、トーナメント制ではなく、生き残り戦だと言う事は何の不思議もない。

 しかし、Sクラスが4人。Aクラスが3人。Bが6人。その他諸々あわせて15人しか相手がいないからって、そして俺たちだけで14人、ゲーム内容は俺たちのチームを三人以上狩ったら次に進めるといったものになった。

 制限時間は一時間。

 俺たちが一人でも生き残れば、チームは上に行く。


 場所は山、川、海、街があるとても広大な土地だ。それを、モニターを通して様子を見れるようにしたとかいう規格外のステージだ。ルールだけ見れば俺たちに有利だ。だがしかし、果たしてその優位性が、上位クラス13人を相手にしても余りあるものなのか。その疑問は一瞬で失せた。


 開始三秒。ルールを知った俺たちはとりあえず一人でも生き残るため、別れようと言うことになった。返り討ちは無理だと判断したのだ。

 俺は街の方からスタートした。

 声が響き渡る。

「だぁぁぁぁぁぁはっはっはぁ!!! 我、Aクラス、奉加 劉突! どうやって集計するのか解らんのでな、名乗らせてもらう。行くぞ!――我の名を顕現し、ここに存在を示せ、代償は勇、名を貸す事、跪き、頭を下げて、粛々と承りて、召喚されよ。お前の吐息だけで世界を赦せ、レベル21213――<竜王角裂|ヒドロキシ>」

 

 神話に出てくる竜。災害とかに例えられるがそんなもんじゃない。何が起こってるか解らない、空に円ができ、中から口だけが見えたと思ったら、山がなくなっていた。そう、開始2分でフィールドの4分の1が消えた。

「「鳥山 雄武さんアウト。ドラゴンズに一ポイント」」

 校内放送が鳴り響く。校内放送で間違いない、なぜならここは校内だから。

 俺はその様子をビルの中から見ていた。これは見つかった瞬間に終わるし、見つからなくとも運が悪ければ終わる。分の悪いかくれんぼに他ならない。と言うか、一人だけと言うのもなかなかすごい確立だな。

「おい」

「うわーーーーーーーーーーーーーー」

「ん、すまん。驚かせたか」

 なんかよく解らない叫び声をあげてしまった。びっくりしすぎて逆に棒読みみたくなった。俺の後ろと言うか、多分今俺がいる部屋にはいってきたのだろう時雨がよったんいかを差し出しながら笑いかける。こいつ……今完全に俺で遊びやがった。

「ふう、君は足が遅いんだな。私でも追いつけたぞ」

 それは多分こいつの足が速いに違いない。男と女で体格差もあるのにそれを補えるほどではないだろう。それに俺は確かに男子の中では遅いほうだが、それでも50メートル15秒だ。

「一瞬歩いてるのかと思ったぞ」

「そんな事より離れろよ」

「いやだ、お前はさっきのを見ていなかったのか? 私は一人で死にたくない。というか恐怖で失禁するのを全校生徒にモニターで鑑賞されるような趣味はない」

「観賞の漢字が自意識過剰だな」

 こいつが使った観賞と言う文字は、芸術などを見て楽しむときに使う漢字だ。

「それにいい知らせがある。あと、もちろん悪い知らせもあるぞ。何から聞きたい?」

「悪い知らせから」

 

 実は俺も心細かったので、話し相手がいるというのはいい。時雨は何故か声の大きさを小さくして話しかけてきた。

「よし、いい知らせからにしよう。話の流れを無視した感じになってしまうからな。まず、Sクラスが4人と言う話だが、実際は三人だ。なぜなら私はSクラスなのだ。ふむ、いいたいことがあるだろうが落ち着いてくれ。何となくSクラスでは友達を作りづらいというか、変な奴ばっかりでどうもな」

 お前もかなり変な奴だぜ、と教えてやりたかったが、落ち着いて聞いてくれといわれたのでただ頷く事にとどめた。そして友達が出来ないからEクラスのを名乗るのも変な話だ。

「それで、やむなく嘘を吐いたんだが、私が弱いということ自体は嘘ではない。私の能力は、故人の能力すべてと言う事になっているんだが、そうだ。君は自分の周りにものすごい強大な力を持った人がいたらどうする? それも自分のことを何の造作もなく」

「個人的な意見でか?」

「あぁ、構わない」

「殺す」

 俺がそう言うと、目を見開いた後、頭を掻いてからこう言った。俺はそんな事より友達が出来ないのは本当にクラスのせいなのかと、説教してやりたい。何がやむなく嘘を吐いただ。


「いや、そこまで過激なのはどうだろうか。私の心はすごい傷ついた。まぁいい、誰もライオンとは友達にはなりたくないだろう? なったとしてもどうしても上下関係みたいなものを意識してしまう。私はそれが嫌でな、私の能力は故人の名前を知る事で発動できるのだが、運よく、市道と言う無能力者が実は自らの能力の発動を無効にするという能力を持っていたんだ。そしてそれをコピーしたんだ。つまり、私はSだが、何も能力が使えない。正確には使っても無効にされてしまうんだ」

 なるほど、さっきまでの俺の中の評価が一瞬塵芥以下になったが、今はそれもあいまって、すごいいい思考回路だ。そう、すべては能力の性だ、お前は何も間違っていない。お前に友達が出来ないのは本当に能力の性だけなのかとか聞く奴がいたら、俺がぶっ飛ばしてやろう。だが、これだけは聞かねばなるまい。

「お前は、その発動を無効って奴を自由に止められたりしないのか?」

「残念ながら無理だ」

「大好きだ」

「だから君の期待には添えないが、とにかく敵のSクラスは3人……ん?」

 

 死んだ奴の能力の中で、自分の能力を無効にする能力者を見つけるのは並大抵の事ではない。そいつはノーマルとして生涯を送ったに違いなく、うん、いい。めちゃくちゃ美談じゃないか。こいつが女じゃなければ抱きしめていただろう。

「ふむ、そろそろ悪いほうの知らせを言おう。君の後ろ、そして私の死角に、私たちがいつからそこに!? という反応をして欲しい為だけにそこで待機してるBクラスの北条 綾さんの事なんだが……」

「気付いてたの?! そこまで解ってたら逆に何も言わずに驚いてよ! 性格悪っ、そんなんだから友達出来ないんですからね!」

 この部屋の出入り口は一つ。窓は開けることが出来ないタイプだった、俺たちが話していたとはいえ、部屋にはいってきたら普通気付く。それほど大きな部屋でもないのだから。しかし彼女はそこにいた、悠然と笑みを浮かべて……

「台無しだな」

 俺はついそう口走っていた。

「言わないでけっこう。ミステリアスとか諦めましたわ」

 あぁ、いやこいつも能力者なんだから、一切の同情心とか俺にあるわけ無いんだがこれは辛いんだろうな……。顔真っ赤だし。かすかに揺れてるし。

「あ、そういえば時雨何? こいつの知り合い? 何で名前知ってるの」

「ん、いや、私の趣味だ。もしかしたら私と友達になるかもしれないだろう? そのとき名前を聞きそびれても困らないようにだな」

 こいつ思ったより必死だな……。だけど多分お前の性でその可能性は完全に潰えたぞ。


「私が忠告するのもあれなのだけれども、慈悲をあげますわ。いいですか? 私とあなたは敵です。そしてSクラスのあなたは力が使えないのでしょう? それにあなたは総合クラス……、勝ち目はあるのかしら?」

「あー、ごほん。何故ひっきーのクラスを?! こいつ……なんてミステリアスなんだ」

 時雨が何歩かよろめくがこれは……なんというか。

「わざとらしい! そういう、あぁ、もう、いきますわよ」

「ふむ、失敗したらしい。名誉挽回で彼女の雰囲気作りを手伝ってあげようとしたのだが」

「私の能力は空間歪曲。私の前では距離は関係ない。常にあなたの0距離で攻撃が発動しますわ。――<魔駕れ|まがれ>」 

 彼女、北条の手が消える。正確には手首から手先にかけて、それこそ空間そのものに手を突っ込んだような様子だった。そこから北条が腕を抜くと、俺の横にあった机が歪んでモダン芸術のようになってしまった。

「これが私の能力よ、どう? 怖気づいたかしら。それじゃあ今度は本気をだすので、無理だと思いますけど、せいぜい足掻いて下さいね」


 わざわざ能力を教えてくれたり、今から行くよみたいなことを言ってくれたりと、なんかさっきからすごい優しい印象を受けるが、この状況が良くなる訳じゃない。だが、今の攻撃範囲だったらどっちかを攻撃してるときにどっちかはとりあえず逃げ出せるはずだ。

 俺たちは目配せをしていっせいに駆け出した。

「<魔駕れ|まがれ>」

 能力の発動を感じる。視界が歪んでいく、歪められた空間というのは触っても別に痛くもないし硬かったりとかはしないらしい。ただ、前には進めなかった。う


 そう、歪められたのは俺でも時雨でもない、この部屋に一つしかない出口だった。

 空間に片手を突っ込んだまま北条は妖艶に笑った。


 これが今流行の五体不満足少女って奴か。 

    


  

     


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