表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
41/108

バッチ争奪戦

 

 することが無いので、本ばかり読んでいたので、魔法使いとか能力者とかについてかなり詳しくなったと思う。

 ただ、まだちょっと眠い。遅くまで読みすぎたと反省する。

 

 今日は土曜、大会場には、別に行かなくてもいいんだが、どうせ二回いくのだから、

今日行っておいたほうがいい。


 それに二回以上の参加ということは、何度でも参加できるってことだ。

 しかも後半に行くに連れ、参加人数は減るだろうし、

いいことなんて無い。


 それに今日、金属さんより、という宅急便が届いた。

 なぜ、部屋まで届けに来るのかとか、そもそもここに宅急便を

送れるのかとか疑問があったが、帽子を深く被った宅配員が

去り際にGood Luckと、とてもいい発音で呟いたのを聞いたのを聞いて、

俺は全てを理解した。


 いや、何で来たのかについては何も解らないが。


 なぜか、バックも一緒に置いていったので、開けようとしたら、

ただ、置き忘れただけらしく、恥ずかしそうに取りに来た。


 そういえばこの学園は、外部からの進入を許さない秘密主義として有名なのだが、

結構ザルなんじゃないかと思われる。


 大きなダンボールの中には、ポップコーンなども入っていて、

気が利くなと、今日も金属さんを見直した。


 ポップコーンと、藁人形、釘にヒトカタをショルダーバックに詰めて、

最後にベルトを通すところに鎖を絡ませ、バックを繋ぐ。


 出かけようとしたときノックされる。

 金属さんがまた何か、忘れたのかとドアを開けると意外な奴が立っていた。


「おう、今から大会場に行くんだ。俺の後ろについてきな! 」

  

 槙最だ。

 なぜこんなところに、そんなキャラじゃないだろ?

 そしてお前と俺は友達でもなんでもないだろ? 


「何で、俺の部屋知ってるんだ? 」

「はっ、俺様には時間がねぇんだよ。どれだけ遅らせても足りないくらいにな。」


 すたすたと、行ってしまったので、俺は部屋の鍵を急いで掛けて、追った。

 答えになってないというつもりだったが、槙最は勝手に話し出す。


「お前は、何の能力なんだ? 誤魔化さなくてもいいぜ、

力を持ってる奴と持ってない奴ってのは、見れば解るからな。

確かにお前には力が無いことに対するコンプレックスなんてものはなさそうだが、

能力者ってのは他人の能力を知りたがるもんだ。自分と相手の優劣を簡単に付けられるからな。

だがお前にはそれが無い、つまりお前はノーマルって奴だ。」


「お前だってノーマルを見下してるだろ。

俺との優劣ってのを付けたはずだ。」

 誤魔化そうかとも思ったが、能力者が相手との優劣を付けたがるって所

に共感したので、お茶を濁したくは無かった。


 一瞬こっちを見て、二ィっと歯を見せ、

「はっ、なんと言っても俺の能力は最強だからな、世界を変える能力だ。

安心しろよ、お前だけじゃない、俺様以外、この世界すら俺様は見下してるぜ。」


「あぁ、そうですか。」

 俺がそういうと、一瞬だけ変な顔をした後、

近道するか、といって、チラッとこっちを見た。


「天上天下。」


 あぁ、確か世界をコピーする能力だっけな。

「近道ってどうやるんだ? 」


「簡単さ、この壁を壊せば近道できるぜ! 」


 なるほど、別にここの壁を壊しても、元の世界では壊れてないから、

ここを通ってから能力を解除すれば近道できるのか。


 そう言って木刀を壁に向かって打ち付ける。

 だが、当然のごとく壁が少し凹んだだけだった。

 いや、壁壊すの無理だろ。


「あーーーーーーーーーーー! 」

 女の声がする。そして駆け寄ってくる足跡。


「ん? この校舎レプリカは二日前に作ったばかりで、

この前の入試の時の奴は壊したし、人がいる訳ないんだが。」


 あぁ、あれは雑魚だ。

 いくらか憔悴はしているが、元気そうだ。

 この前、槙最に消されたがここに移動させられたのか。

 完全にスルーしていた。


「ひどすぎます。私が、携帯食料持ってなかったら死んでましたよ!!

なぜか水は出たのでそれは良かったですけど。」


「誰だ? 」

 槙最が言う。

 しょうがない、親切に俺が説明してやろう。

「雑魚だ。」

「雑魚か。」

 槙最が納得してうなずく。


「違う! ひどい! そして雑魚ってなんですか!? 」


 壁の凹みが無くなった。きっと元の世界に戻ったんだろう。

 この擬似空間って奴、すごい身を潜めるに有利じゃないか?

 食料も持ち込めるらしいし。

 大会場行ってもこれ使えば安全だ。

 そう俺が言うと、せこいと一蹴されてしまった。


「はっ、もう土曜日なんですか? 」

「しょうがないな、お前も連れて行ってやるよ。

一緒に行こうぜ雑魚。」

 少しかわいそうだったので俺がやさしく誘ってやる。


「えっ、本当ですか、あっでも私お風呂も入ってません…。」

 きっと雑魚が身に染み付いているんだろう、雑魚と言われた事に気付いていない。


 さっさと行くぞと、今度は俺が先頭で歩き始めた。


 



 大会場と書かれたドアをくぐると、四畳半くらいの空間があって、

大きく、星やら、三角、台形なんかをたくさん組み合わせたような図形が書いてあった。


「転移門とか、ワープゲート的なものですね、

座標がランダムですので、手を繋がないでいないと別々のところに飛ばされます。」

 と雑魚が説明してくれる。


「意外と簡単なんだな。」

 俺が呟く。


 槙最が手を出してくる。

 手を繋げということなんだろう、

少し抵抗があったが、まぁいい。


 すると、雑魚も俺に手を差し出す。

 何で俺が真ん中なんだよ…。


 まぁ、槙最と雑魚は初対面みたいなもんだからな。

 だけど、こういうのは柄じゃないんだけどな…。 

  

 俺にとってかなりシュールな画で、転移門ってのに載ると、

俺たち、一人一人の名前を呼んだかと思うと、世界が反転した。


 そこは丁度、崖の上で、後ろに森、そして空が青い。

「ここどこだよ。」


「大会場ですよ。ここからは気を抜くとやられます。

まぁ、校長先生の能力がここ全体の空間に掛かっているらしいので、

教室に戻るだけですけど。」

 

 雑魚の説明を聞き流すと、槙最が微妙な顔をしている。

 俺の視線に気付いたらしく、

「いや、ここで早川と戦ったんだけどよ。

俺様が世界を作っても、その、校長のやつ発動してたんだな。」

 と言った。

「つまりあれか、俺たち一人ひとりを対象にしてる可能性のほうが高いな。」

 と、俺が結論を付けた時、背後で声がした。

 



「いや、違うな、お前の能力は空間をXY軸で言うなら、

Y軸だけずれたところに作っている。

つまり場所自体は同じわけだ。」


 あ、あの趣味悪いマントは、って教師はみんなつけてるんだっけか、

「斉藤先生! 」

 雑魚が声を上げた。


「おう、宿女、元気か? 先生は盲腸で大変だった。

慰めてくれ。」


「俺様の能力について、詳しいな。」 

「あぁ、能力がどんなもんか解る奴があるんだよって、

そうだ、先生は担任としてきてやったんだった。なんか質問はあるか?

無いなら帰りたいんだが。」


 無いな。

 

「あ、これって、どうやったら帰れるんですか。」

「ん? そんなことも説明されなかったのか。

制限時間は3時間だ。

ただし、一人倒すごとに終了するかどうか、鳥に聞かれるから。

おっと、もう始まるぞ。結構ぎりぎりに着たんだな。

他のやつらは、罠を張ったり忙しそうにしてるってのに。

まぁ、お前らは狙われないからいいのか。」


 そういって斉藤は消えた。

 ワープって奴か。

 俺もこれをやったのだと思うと気味が悪い。



「お、誰か歩いてんな。」

 俺は崖の下で歩いている生徒を見つける。


 ピーンという音が鳴って、俺たちの前に名刺ぐらいの

白い色の何も書いていないバッチ? の様な物が現れる。

「「右胸にお付けください。それでは御健闘を。」」

 どこから声が聞こえる。

 入学式の時と同じ声だ。


「どうする。」

 と俺が聞く。

「何がですか? 」

 雑魚が首をかしげる。

「いや、付けるかどうか。」

「付けるに決まってるじゃないですか。」

 そうなのか。


「おい、いくぜ。」

 槙最が崖の下の生徒を見つけたのか、言う。


「まぁ、見てな。俺様の出番だ。」

 そういって崖を下っていく。


「いくぜぇ! 其処の奴! 勝負だ!! 」

 大声を出して、まっすぐ突っ込んでいく。


「えぇ! ちょっとー。

行っちゃいましたよ。如何するんですか? 」

 

 俺に聞くなといいたいところだが、

「行くぞ。」


「無理だよ! 」


 何か叫んでいるが、無視して俺も下っていく。


「行くぜぇ! 」

 槙最が相手に飛び掛っていく。

 相手は大きな本を抱えている。

 俺の見立てでは圧倒的有利だ。


「レベル3、エアーボム、連結、フレア! 」

 槙最に本を見せるような形で開き、そういった。

 そうすると、槙最の周りを炎が包む。

「チッ、」

 更に、爆発した。

 

 思い切り良く、槙最が飛んでいって見えなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ