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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
36/108

バッチ


 教室に入ると斉藤では無く、教卓の隣で椅子にゆったりと

おっさんと言うには少し年を食った(先生だろう、が座っていた。

 こいつも趣味の悪いマントをつけている。

 

 数学の先生がつけていなかったから、あの変態の趣味かと思っていたのに。


「今年の入学者は少ない。

それがここに居る其処のパツキンの所為だと思うと頭が痛いな。」


 俺が最後らしく、一瞥した後、話し出した。

「…用務員さん。」

 月が小さな声で呟く。

 多分だが、俺にあれは用務員さんだよ、と言っているんだろう。

「…斉藤、入院。」


 斉藤先生が斉藤になったのは俺だけじゃないらしい。

 だが、入院とはどう言った意味なんだろうか。

「超回復はどうしたんだ。」


 眼を見てくるので顔を伏せる。

 一瞬ならセーフらしく、月が俺の中に直接話しかけてくる様子は無い。

「…説明しづらい。」

「だからと言って俺は目を合わせない。」


 とりあえず、トリガーの近くに座る。

 斉藤がなぜ入院したのか聞くためだ。

「あ、黒独か、お前どこにいたんだよ。」

「おう、部屋にいたけど。」


 半ば、あきれたような顔になったトリガー

「すげえな、俺でさえ、なんか落ち着かなくて適当に授業にもぐりこんでたのに。

普通、そんなゆったり出来ないだろ。」


「こら、話を聞け。」

 用務員さんに窘められたので、俺たちは会話をやめる。


「お前たち、これから言うことは退学になりたくないのならしっかり聞くこと。

これから大事な大事な単位の話を始めるからな。

わかったら元気に返事をすること。」


「はーーーい。、、、あれ? 」

 一人だけ元気に返事をした。

 確かあれは、黒目が星になる人だったはずだ。


 用務員さんは満足そうにうなずいて、

「いい返事だ。君は、姫井君か、

よし、このバッチをやろう。」

 と言って、花形のバッチを彼女に渡した。


「え、わーい。」

 純粋に喜んでいるようだ。


「今のバッチは、柄こそ違えどほかのクラスの生徒は、

五枚ずつ持っている。 このバッチは、半年に一度ある

査定の時に一枚も無ければ退学だ。

 まぁ、この学園に一年もいれば就職できるだろう。」


 バードが手を挙げながら発言する。

「俺たち貰ってないんだが、どうすりゃいいんだ? 」

  

「まぁ、最後まで話を聞け。

年寄りの話は長いものだ。」


「まず、贈与だ。バッチは先生の前でのみ受け渡しできる。

姫井君、奪うことは出来ないから安心しなさい。」


 えぇぇぇとか言っていた姫井さんが胸をなでおろす。

「よ、よかったー、っていうか私これでノルマクリアなんですか?

先生ありがとー。」


「このように、教員からももらえる。

しかし、条件は意外と厳しいので総合クラスの君たちでは厳しいだろう。

今日は特別サービスだ。

ちなみに私は、24時間以内ですべての廊下をあらなく、磨ききったら渡すことにしている。」


 なるほど。だが姫井さんはともかくとして、俺たちは手に入れる手段が無いんじゃないか? 

だってここの廊下めちゃくちゃ広い上に、長いし、無駄な行き止まりあるし。


「さてここからが一番重要だ。

君たちには週一で一度開かれる大会場で、戦ってもらう。

これには二ヶ月で二度以上参加しなければならない。

まぁ、戦うのが苦手だと言う人は隠れていればいい。

なんといっても大会場は5キロ×5キロあるからな。」


「広っ! 」

 トリガーが声を上げる。

 確かに広い。いったいどこのそんな土地があるのだ。


「例年は君たち総合クラスが200人からいるからな。

何とかなりそうなんだが、今年は、実力の無いほうからごっそり

削られたからな。」


 用務員さんは槙最を見る。

 お前の所為だといいたいんだろう。


 槙最はそんなことは気に留めない様子で、

「そこでバッチを奪うわけか。楽勝だな。」

 と言った。


 用務員さんははぁとため息をついて、

「まぁ、そうだ。相手を倒すと、バッチを一枚もらえる。

これは校長のライフゲームと言う能力で、

致命傷を喰らうと強制的に教室に戻されるんだ。

そしてダメージが残ることも無い、安心だな。

まぁ、今年は12人しかハイエナがいない訳だし、

平和的になってしまいそうだがな。」


 ハイエナとは俺たちのことだろうか。

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