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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
35/108

計画は動き出さない



 俺がこの学園に入学してから5日、自分の部屋と図書館を往復する日々だ。

 至福を感じる日々だが、それだけに焦りが出る。


 この俺、黒独 尊は、この学園で最強になって、

見下してやろうと思ってきたのだ。

 いや、別におれ自身が最強になれると思うほどおごってはいない。


 鬼だ。

 あいつならやれると思ってた。

 あいつと俺で、能力者主義をつぶそうとしたのだ。


 作戦は完璧だった。

 まず俺が試合の場所を作る。

 そして鬼が勝つ。

 


 勝算がないといわれそうな作戦だ、そもそも作戦の低をなしていない。

 鬼はノーマルだ、しかし誰よりも強い。

 常に、体を鍛えている、一日22時間、休み無く。

 立って居れば爪先立ちだし、座れば空気いす、努力を欠かしたことが無い。


 だから能力者なんてものに負けるのが嫌だった。

 それで俺も能力者のせいで…、

 


 しかし、その鬼と連絡が取れ無いのには困った。

「「ユーゲッタメール」」

 待ちに待った着信が来た。


 鬼だ。そもそも俺のめるアドは鬼しか知らない。

 しかし、あいつは用があれば、うさぎ跳びで尋ねてくるような奴で、

メールと言うことはこれないわけがあるのだろう。


「「 黒独へ、


 自分の無力さを思い知った。 修行する。 


               鬼 -m(。・ε・。)mスイマソ-ン」」



「いや、待て待て待て待て待てぇぃ!!

何だこの顔文字!? いや、え、

嘘だろ!? どうやって打ったんだよ。メール一文打つのに二時間かかる奴がどうしたんだよ!? 」



 急いで電話を掛けたが、既に電源を切られたか、圏外になった。

後者だろう。山にでも居るんだろう。


「どうした! 産まれそうなのか!?」


 ドンドンドンと部屋のドアを殴られる。


 無視しようかとも思ったが、それだと俺が出産しそうだと広められかねん。

 相手は声からして蟹吉だからな。

 これは後から知った話と言うか、学食に行った時に

月がぼそぼそと話していたのだが、隣の部屋は蟹吉らしい。


「産まねぇよ! 」

「産めよ! 」


「蟹吉ちゃん、それはちょっと理不尽だよ…。」

 淑やかさんも居るらしい。声がする。

 仲がいいのかいつも一緒だと言う印象がある。 


「開けろ! って開いてた。」

「無用心だね。」


 鍵を掛けるのを忘れていたらしく、二人が入ってくる。

「ん? 」

 あれから、制服や、備品、金が学園側から届けられた。

 よくは解らない、しかしこれが無ければ俺は死んでいた。

 主に餓死とかで。 


 淑やかさんは支給された制服だろう。

 学食の時しか、部屋の外に出なかったが、よく見る制服だ。

 学年ごとに制服は違うらしいが、学食に行ったときはみんなこの色だった。

 

 しかし蟹吉の服が明らかにおかしい。

「あー。」

 淑やかさんが言いよどむ。

「ふふっ。」

 そして蟹吉が、なぜか何処か自嘲気味に笑う。


「何だその服。」


「えっとね、制服のサイズを書く用紙があったでしょ。

そこに、ほらこの学園いろんな人が居るからある程度は

オーダーメイドしてくれるっていうか、

たとえばポケットを多くとかできるらしくてその欄があったんだけど…。」

 

 淑やかさんが蟹吉の奇抜なカッコについて説明を始める。

 そしてなぜか蟹吉がすごく疲れたような顔で黙り込む。


「それで、蟹吉ちゃんはそこにそこはかとなく蟹さを、かもし出しながらも

ハイソでクール、キュートかつ、可愛いの。って書いたらしいんだけど…。」

「いや、可愛い意味被ってるし、でっかくエビって書いてあるぞ…。」

「うん…、すこし制服作る人にウザイって思われたんだろうね。」


 そこで蟹が口を開く。

「見てくれよ、、、この袖、めちゃくちゃ長いだろ。

すごい生活しづらいんだ。」


挿絵(By みてみん)


 さっきまでのテンションはなんだったのだろうか。

本当にぼそぼそと斜め下を見ながら、話している。


「あ、そうだ。黒独くん、なんか、みんなが招集掛けられてるよ。

なんかすごく重要な話だって、なんか単位の話だって。」


 うーん、単位なんてあったのか、自由行動っていわれたし無いのかと思った。 


「よし、いこうぜ! 」

「あ、蟹吉ちゃん立ち直ったんだね。」

「おうよ! もうこの服を着るのは四度目だしな! 」


 蟹吉が走り出した。

「あ、待ってよー。」

 淑やかさんも後について走っていってしまった。


 俺も行くか。

 取り合えず私服から制服に着換える。

 学園内はこれを着て生活しろと言われているからな。

 外に出ようとしたところで

「……一緒に行こう。」

 月が廊下で、片側の壁に寄りかかっていた。

 俺は目を伏せながら、

「ん。」

 と頷くと、なぜか軽く腹を殴られる。

「なんだよ。」

「…私、ノックしたのに…何度も。」

 気付かなかったな。

 とり合えず謝るべきなんだろうか。

「…実は昨日も。」

「あーいや、本読んでたから。」

 月は早歩きで歩き出してしまった。  




「…実はその前の日も。」

 

  


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