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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
33/108

名探偵たちの午後

「腹減った。」

  

 あーくそっ

 もう昼時か。

 独り言が漏れ出してしまう位に腹減った。

 

 とりあえず教室戻れば何とかなるか。

 きっと誰かが解決策を見出してくれているところだろう。

 

 

「お、黒独か、って黒独って呼びずらいな。

お前なんか考えろ。」

 

 教室に行くと、ちょんm、では無くトリガーが話しかけてくる。

 ほかには誰もいなかった。

「考えろって何をだよ。」

「自分のあだ名、呼びやすい奴。」

 それ自分で考えて広めるのとか恥ずかしい奴だろ。


 

 沈黙が続く。

 いすに座ればいいのになぜか床に座っているトリガー。


 それを見下ろすかたちとなった俺は何か居心地が悪くなってくる。

 分かったよ考えればいいんだろ!


 ………

 よし、考えたぞ。 

「黒とかでいい。」



 トリガーは少しの間のあと、

「だせ。」

 死ねよぉぉぉぉぉぉぉぉ

 

「あーいや、待て。」


 トリガーが顎に手を当て何かを考え始める。

「あだ名を自分で考えるのはやっぱ不自然だな。

あれだ、なんかお前、暗そうっていうか、眼に隈あるし、

なぜか藁人形が鞄の中に入ってたし、ひっきーで。」


「おい、待て、なんで俺の鞄の中身知ってる? 」

 その藁人形は、昨日のハンバーガー事件の前に編んでおいた奴だ。

「あぁ、蟹っちがなんか見つけて遊んでたぞ。」


 蟹っちというのは蟹吉のことだろう。

 あいつ、、、今度あったらただじゃおかない。

 その前に人の鞄を勝手に漁るとかどういう神経してるんだ。


 あ、と何かを思い出したように俺に鍵を渡してくる。

「今日な、俺ちょっとねーちゃん探してたんだ。」

「あぁ、うん。」

 何の話か分からないが、取り合えず頷いておく。

「そしたら寮母さんに会ったわけよ。これがなかなか美人なんだけど、

なんか荷物はこぶの手伝ってって言われちゃってさ。」


 あー、わかるな、こいつなんか頼みやすそうなオーラ出してるもんな。

「そんで、、かぎ貰ってきた。お前で最後だから。」

「いや、何行ってるのか全然わかんないんだけど。」


 えーっとめんどくさそうな顔になるトリガー、ムカついたので軽く蹴っておく。

「あーじゃぁこういえば解るか? かくかくしかじか。」


 なるほど、昨日俺たちに部屋も飯も用意されていなかったのは、

斉藤先生が連絡するのを忘れていただけで、

そう勘違いした原因となった、ここに用意された布団は、

教職員が夜、学校にいるための設備だったってわけか。

 そしてこれは部屋の鍵と。

 つまり斉藤先生はこれからは斉藤と。


「解った。」

「マジでか! 」


 何を驚いてるのかは知らないが、部屋があるのならそこで本を読もう。


 図書館からここまでの距離も長かったが、この寮までも長い。

 そもそも寮があるなんて知らなかったのだが、、、

 おかしいな。


 この廊下を右に曲がるはずなんだが、右が無い。

 まぁ別に左にしか曲がれないなら左に曲がるべきだろう。

 

 

 くそっ行き止まりか。

 そもそもこの校舎どうなってるんだ、なんで行きどまりがあるのかが理解できない。


「あ、黒独君! よかったー、私道に迷っちゃったんだよぅー

ほんと困るよね。」


 えーーーーっと、


 確か、、、、、

「さぁ問題です! 私の名前はなんでしょーか?」

 すごく悲しそうな顔で明るい声を出しやがる。


 明らかに自分で自分のことを追い込んでいる、俺のせいではなく。、

 しかし可愛そうすぎて、、、っていうか思い出してやりたいが、

ちょっと前に名前が出たはずだ。


 思い出せ、確か最後に名前を呼ばれていた奴だ。

 

「あ、ヒントだしまーす。ほら、私髪の毛藍色だよ?

クラスの中で一番髪の毛長いよ? キューティクルだよ? 」


 なんか必死だな。

 しかしまったく思い出せない。

「うぐっ、もういいよ。ごめんねウザイよね。

うん私さ、小学校の頃から、重いって言われ続けてきたし。ぶつぶつ…。」

 

 よし、思い出した!  

「小口、、、、さんだろ。」


 名前までは無理だったが、及第点だろう。

「名前は? 」

「ん? 」

「下の名前。」


 いや、今のでもう終わりにしようぜ!

 馬鹿だろ、馬鹿だろこいつ、もう無理だよ、

なんで泣きそうになってるんだよ。

 明らかにお前が招いた結果だろうよ!


 これはもう走って逃げてしまおうかと思っていた時、

赤い髪で、ツインテールが4組ぐらいずつ頭にくっついた奴が、

走ってこっちに来た。


「あり? 淑やかじゃーん、なんで泣きそうになってんの?

修羅場? 修羅場なの? 」


 こいつなら解る。こんな目立つ髪形を俺はほかに知らない。

 蟹吉だ。

 本名蟹・蟹・蟹だ。


「あ、蟹吉ちゃん。

なんでもないの、ちょっと自分が嫌いになっちゃって。」

「おぉ、詩人だね、柿を食べたいけんちょーじってか。」


 いろいろと突っ込みたいところだが、とりあえず建長寺は

けんちん汁だ。

「そんな事よりさ、迷ったんだけど。

迷宮入りしちゃったんだけど。謎を解くのは君だよ。名探偵、淑、や、か、さ、ん。」


 ビシィぃっと指をさす、なぜか俺に。

「君はアーサー・ヘイスティングズ役だ。

さぁ、サポートしたまえ。」


「えっと、誰? 」

 名探偵役の淑やかが、首をかしげている。

「こいつに名探偵は無理だろ。」

「確かに、淑やかには悪いけど私が名探偵になるしかないぜ。」


「いや、お前にもポアロは無理だろ。」

 むすっと頬を膨らませる蟹吉。

「じゃあなにさ、名探偵はお前か、しょうがないな、

蟹吉のことをホームズって呼ぶならやってもいいよ。」

 

「あくまで俺は助手か。」

「そう言うなよ。帰国子女でかつ、成績優秀、可愛くてもう神!

なワタクシと同じ度胸を持つなんて無理じゃったんじゃよ。

でもお前はよくがんばった。」

 ぽんぽんと肩をたたいてくる。


「いや、それは納得いかない。なぜなら明らかにお前は帰国子女って顔じゃないし、

馬鹿っぽく、なお且つ神ではない。」


「くそっ、可愛いってとこを否定しないことに少しドキッとしたぜ。

だけど、あんたが私より下だってことを思い知らせてやる!! 」

「わぁ、蟹吉ちゃんの中で黒独君の評価がお前からあんたに代わった。」


「受けてたつぜ! 」


 あれ、俺ってこんなキャラだっけ。

 いや違う、蟹吉にあてられて少し変になってただけなんだ。


 あれから、右の壁に手を当てるという神業を使い外に出た俺たちは、

俺に割り当てられた部屋に入った。

「さぁ、頭脳と頭の良さ、さらにIQを掛けた勝負だ。

負けたほうは勝った方に敬語な。絶対だかんな。」


 うーん、本が読みたいんだがな。

 なんで受けてたつとか言ってしまったんだろう。

「はい、第一問! 栃木県の県鳥は?」

「オオルリ。」

「くっ即答か、、、なかなか熱ぃバトルになりそうだぜ。」

 なぜか蟹吉は燃えている。

 次は俺の番か。


「イカの足は何本でしょう。」

「ふっ十本って言わせたいんだろうけど、

残念だったな、イカには腕しかない。よってゼロっ本だよ、コロンボ刑事! 」

 

 む、引っかからなかったか。

 っていうかムカつくな、ゼロッ本って馬鹿っぽいのに。

「蟹吉の本気を見せてやるぜ。

さて、世界でもっとも多区取れる果物は? 」

「葡萄。」

「で、ですが! イタリアのローマにある観光名所、真実の口の顔の人の名前は? 」

「トリトーン。」

「うぐっ。」


「じゃ、バンコクの正式名称は? 」

「えーっと。」

 さすがに答えられないだろう。

「第三問、バンコクの正式名称は? 」

 蟹吉が鸚鵡返しに俺に問う。

「おい。」


「う、うるさい。そんなの言えるわけないね!

助手の癖に! 言えるわけ無いよ! 何なら行ってみれば、

「クルンテープ・マハーナコーン・アモーン・ラタナコーシン・マヒンタラーユタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラッタナ・ラーチャターニー・ブリーロム・ウドム・ラーチャニウェート・マハーサターン・アモーンビーマン・アワターンサティト・サッカタットティヤ・ウィサヌカム・プラシット」






「………。」

「おい蟹吉。」

「何さ。」

「敬語だろ? 」


 屈辱に震えている蟹吉。

「うっ、数学とかなら負けるわけ無いんだ!

苦手分野だったん

「敬語。」

「待ってよ。冗談だっ

「敬語。」


 それまで黙っていた淑やかが、

「じゃ、私が反撃する! 」

 と立ち上がった。

「問題ね、蟹吉ちゃんのフルネームは何でしょう。」

(ふっふっふ、私の名前を覚えてなかった人が、蟹吉ちゃんの長い名前を覚えてるわけ無いもんね。)

「蟹谷、キャンサー、吉蟹。」


「私の名前は覚えてなかったくせに!!! 」

 淑やかさんは走って出て行った。


「いつの間にか蟹吉もいない。」


 きっと出て行ったのだろう。

 自由な奴だ。

 あれそういえば蟹吉に俺、なんか言うことがあった気がしたんだけどな。







 


 




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