気付く
なんか無性に腹が減った。
それに何か、食堂に用があった気がする。
まったく、結局よく解らない授業ばかりだった。
数学実践にはもう参加しないと決めた。
「…ねぇ。」
廊下でボーっとしていたら、月が話しかけてきた。
鬼は4時限目に体育を選択したとかで体育館に行くとか言っていた。
そういえば体育館は燃えたのではなっかたか。
こんなことを忘れていたとは、
(いやいやいや、忘れていたとは、じゃないよ。
無視しないでよ。これ使うなっていうから許可を求めようと思えばこれだよ。
マジざっけんな、)
手を可愛くバタバタ振り回してきたので、あえてすべて避けてみた。
「…今のは、はぁ、はぁ、くらうところ。」
廊下を逃げていたのだが、もう追ってこなくなって、
泣きそうな声を出すので戻ってやる。
そしてなるほど、大体3メートルぐらい離れるとこの能力は使えなくなるらしい。
「なんで泣きそうなんだよ…。少し自分のふがいなさにショック受けてたんだ。
別に無視はしてない。」
(まあ、別に気にすることじゃないと思うけど。)
「なにが。」
(いや、そのふがいなさってやつ。)
なぜかわからないが、ニヤッと笑った月に少しドキッとした。
これってもしかしてドキッとしたとかも相手に伝わるのだろうか。
(そういえばさ、誰かに話しかけられた? )
そんな様子はないのに安心する。
それにどれはどういう質問なんだ?
さてはこいつ、誰からも話しかけられなくてへこんでるのか?
少しなら元気づけてやってもいい。
(やめて! その憐れみ私に筒抜けだから!! )
そういえば何か食おうと思ってんだった。
「そんな事よりなんか食おうぜ。
奢ってくれよ。」
(なんで私が! ふつう逆ってか、まだそんな時間じゃないでしょ。)
「は? いやいや、昼飯はそろそろだろ。」
(今何時だと思ってるの? あれ、)
「どうしたよ。」
(今、何時だっけ。)
「お前、変な奴だな。」
(いや、だって始業式でもうお昼ぐらいになるはずで、
それから6時間の試験があって・・・。)
確かにそうだな。
ん? 待てよ。
(どうしたの? )
「いや自分で言っといて気付かないのかよ。
だってまだ外は明るい。それに、その計算なら今は9時ごろになるじゃないか。
つまり今は晩御飯の時間? 」
(…何言ってるの? それこそ自分で言ってて気づかないのだよ。
そもそもこんなに時間がたってるはずなのに、日が暮れてないことが大事件じゃん。)
「なぁ、なんかおかしいと思わないか? 」
(そうだね、おかしいと思ってない私がいる事がおかしい。)
「どうする? 」