不幸な女の子
ここは才能のあるものが集う大学と評される魔道学校、その始業式である。
私、鈴木 サチはこの超有名校に受かったのだ。試験は超がつく難易度だ。
まぁ去年の話ではあるのだが。
試験とは基本は学科試験だ。
合格点は600点ほかの学校とは違いこれを超えれば必ず入学できる。
しかし学科試験の満点は600点。
大学の試験で満点などとれる人間はまずいないだろう。
とれたとしたらその人は能力者だ。
実はこの試験の前に能力の点数を決められる。その点数が学科試験の点数に追加されるのだ。
例えば私の能力は見えないものを見る力、点数は260点ちなみに学科試験は397点だ。
自慢じゃないが平均点180点のテストである。
見えないものって何かって?
なんか人が能力を使うときの波? みたいなものが見えるだけだ。
それだけで260点、まったくいい世の中だ。
ちなみに炎を口から出す超能力者の人は820点、能力としての魔法使いは1200点。
今年の主席の人は確か「「聖なる騎士」」という能力で、8万と6千点だったはずだ。
私の努力はなんなのだという話である。
今その人のが主席の挨拶をしている。その人が纏っている波は大きさこそ普通だがこんなに濃い色は見たことがない。
ってかまぶしいな真っ白な光に包まれているように見えるよ。
だけど私の興味はそこじゃない。
能力持ってる人って怖いし。そして今回は用がない。
あまり能力を持っていなそうな、つまり波が見えない人を探していたのだが、運のいいことにちょうど前に座っている人が波がほとんど見えないのだ。
いやかすかに黒い渦がどよめいているみたいだけどかなり薄い。
ちょっと男の子ってとこがハードル高いけど、勇気を出して声をかけてみよう。
この時は知らなかったのだ。
この人が下手な能力者よりも全然厄介な人だってことを。