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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
14/108

暗闇 月



 やはり男なら、人それぞれ女の子のタイプってのがあるだろう。

 俺は、まず黒髪が好きだ。そしてショートカットがいい。

 おかっぱはさすがに少し嫌だが、髪の毛が伸びる人形みたいなのが好きだ。

 そして無口で、色白なら最高だ。



 髪は肩より長いくらいで、黒髪だ。

 本で顔が半分隠れているが、目は大きく、くりっとしている。

 全体的に小動物のような雰囲気を醸し出している。


 とりあえず、口をふさぐ。

 心臓が縮み上がったが、叫ばれたり声を出されたりするのはまずい。

 手に唇や頬があたって柔らかいが、もう部屋に誰かが入ってきていると

思われるので、しょうがないのだ。


(しゃ、喋らないから手をどけて、く、苦しい。死んじゃう。)


 手で口を押さえてるので、声など出るわけがないが、なぜか話しかけられた気がする。

 

(ちょっと、気のせいじゃないからとりあえず手を、手を。)


 気のせいじゃないそうだ。

 試しに、手をどけてやる。

 

(焦った―、マジ焦ったー、死ぬかと思った―、

もう学生証持ってないよ? いじめないでよぅ。)


 泣きそうな声だ。いや声は出していないのだろうが、そう聞こえる。

 これはなんなのだろうか、幻聴にしてははっきりと聞こえすぎではないか。


(あ、それはね私の目を見たからだよ。

私は最後に私の目を見た人が、近くにいるときに、その人の心を見たり、

話しかけたりできるんだ。)


 そんなことが本当にできるのだろうか。

それに心を読めるとはどの程度までできるのか、

 それが本当なら、今も心を読まれていることだろう。

 というか正直、五月蠅い。  


(違う! これは私の心がそのまま相手に伝わっちゃうんだって。

私いつもはこんなにおしゃべりじゃないよぅ。)


 というか、なぜここにいるんだ。


(あぁ、なんか廊下歩いてたら、学生証渡さないと氷漬けにされるとか、

言われて怖くなっちゃて、その人に学生証渡して、危ないから、

試験終わるまで隠れてようとおもったの。)


 ヘたれだな。


(いやいやいやいや、無理だって、私これしかできないし。)


 確かにこの状況じゃこんなことができても使えないな。


(…、あ、へぇ、あなたのお母さんって年齢的にお姉さんて感じだよね。)


 それ以上言ったらまじで殴る。

 

(ふふふ、私とあなたでは、あなたの心をそのまま見える私のほうが有利なのだー。

恥ずかしい思い出とか、トラウマとか、えぐりつくせるんだからね。)


 完全にドヤ顔だったがむなしくなったのかすぐに暗い顔になり、


(使えないとか言わないで傷つくから…。)


 なんとなく慣れてきたので、これ二人とも傷つくだけだからやめないかと、

心の中で提案した。


(あなたが涙を流すか、私が他の人と目が合うかしないとこれ解けないから無理。)


 確かにそれは無理だ。女の前でなくなど俺のプライドが許さない。

こいつはそういうことも俺の心を見て知ったのだろう。

 なんか、心の中が丸見えみたいで嫌だ。


(そうなんだよ、私これ出来るようになってから友達いなくなった。)


 いきなりお前の過去を語られても困るんだが、

それはそうだろう、誰にでも秘密はある。


(いや、でもね、実際そんなには丸見えじゃないんだって、

本当にある程度なんだって。)


 そうなのか、確かにその人の心がすべて見えたら頭が混乱だろう。


(信じてくれるの! 初めてだよ、そんな風に思ってくれる人…

友達になってください! )


 心の声ってのは考えたことがそのまま伝わるのだろうか、

かなり自分に素直なやつだ。 


(お願いします。黒独くん二人目の友達になりたいです!

暗闇 月っていいます。 )


 こいつ俺に友達と言える奴が一人しかいないことを馬鹿にしてるんじゃないだろうか。


(そんなことないよ! )


 なんかもうどうでもいい、考えたことすべてに突っ込まれるのは疲れる。

 それに、俺のやろうとしてることも知ったうえで友達になってくれというんならなってやってもいい。


(あ、全然気にしないよ、私も化け物言われてきたし。)


 何故だ、才能が開花した奴らはテレビなどでも英雄扱いで、

そんなことを言うやつはいないはずだ。


(表だっては言われなかったけど、目があったりするともうぼろくそ言われたよ。)


 それはお前が何かしたんじゃないんだろうか。


(いや、まぁその人の秘密とか、分かるから強請ったりもしたけど。)


 最低か!


(だから少しは解るし、いいと思うよ。協力しろって言われたら、

微妙だけど。)


 基本、才能が開花した奴全般は嫌いで友達にはなりたくないが、

まぁ一人くらいいてもいいか。


(やったー、友達できたー。私黒髪で色白で無口でよかったー。

君の好みにドストライクでよかったー。)


 とりあえず殴っておいた。

 そしてお前は絶対に無口じゃない。


(いや、私、最後に喋ったの、いつか思い出せないぐらい無口だよ?

私、休み時間とかずっと本読んでるタイプだし。)


 確かにかなり厚い本を読んでいる。

 というかそれなら俺も読んだ。確か…


(ネタバレはやめて!!! )


 相当焦ったのか、頭を机にぶつけた。

かなり痛そうだ。


(だ、誰のせいだと思ってるんだよぅ。)


「誰だ!! 」


 やばい見つかった。

 そしてやばい、あいつは千代緋色だ。 


 なんでこんなところに。 

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