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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
11/108

その呪いの名は一騎無限戦争壁



 ここは、この国唯一の国家特別大学ってのに認定されている。

宇宙人との戦争で、最先端技術などは手に入らなかったが、

人類は、特にこの国は兵器開発でかなり大きな利潤があった。


 それゆえ、成金趣味とまで言わないでも、

かなり金のかかった校舎を予想していた。

俺は、どこかに旅行に行くとき下調べなどしない主義だ。

よって、かなり普通な見た目に少なからずも落胆していた。

 

 だから気付かなかった。

普段ならこんなミスはしない。

もしかしたら、少なからず合格したことを喜んでいたのかもしれない。


「尊君。」


 いつもならここで逃げるべきだった。

 俺のことを名前で呼ぶ奴は少ない。

みな、俺の家の名前で俺のことを覚えるし、

何より俺がこの名前を好きじゃない。

 ちなみに誰も俺の名前を正しく読めてないんじゃないかと、

少し不安になってきたのでいうが「みこと」が俺の名前だ。


 容姿はここの学生とさほど変わりない。

俺は間違いなく初対面だった。

だが、こいつは!


「黒独くん、知り合いかね? 」


 俺は逃げる。

明らかに道に迷うが、捕まるよりましだ。


「知り合いなんて、、、母ですわ。」

 

 これは予想外だった。

俺の母は、もっと歳食ってたはずだ。

そう、少なくとも俺が家を出る前は。


 これで何度目の離婚か再婚か。

今度の母さんは若いな!

 俺はもてないってのに。


 べつに悔しくなんてない。


 そんなことを考えていたので一瞬逃げ遅れた。

「さぁ、おうちに帰りましょう。」

 そういって鎌と人型に切り抜いた紙を取り出す俺の新しい母さん。

なるほど、数日でそこまで習得したのか。

俺ほどじゃないがなかなか才能があるな。

 それとも分家の人間だろうか。

なら、このレベルを使ってきても不思議じゃない。


 準備期間が欲しい。

呪いってのは、正直、ここの能力者に比べれば攻撃力は果てしなく薄い。

 なので、気合さえあれば大体の呪いはやり過ごせる。

そして不幸になるという副作用がある限り、限りなく自滅に近い。


 しかし、それでもこの状況はまずい。

こいつ一人でここにきている可能性は限りなく0に近い。

 爺さんが来ていたら俺は死ぬ。

 つまり足止めされたら終わりだ。

爺さんに見つかる前に対策を練る必要がある。

残念なことに、俺の持ち物はもうトンカチと予備の釘、亀の折り紙しかないのだ。


 勝てる見込みは果てしなく0でしかない。

なぜなら、俺の爺さんは最強の域にいる。

死神とまで恐れられる。まぁ呼んでいるのは俺だけだが。


「おくみょうしょうじんはいかいぜんくう…」


 呪い言葉が始まった。

 逃げるならここがチャンスだが 

ならべくこいつが他の奴に連絡するのを遅らせたい。

そのためには、斉藤先生。

 あんたに手伝ってもらおう。


「君のお母さんは何をやっているんだ。」


 わかるよ、斉藤先生どんなにきれいな女性でも、

鎌をもって、変な踊りをいきなり踊り始めたら引く。


 だがこいつが単純でよかった。

これは、鎌で人型に書いた紙の足を切り刻むことで、

そいつの足を動かなくする呪いと、7枚の人型に切った紙、

4枚の馬の形に書いた紙、さらに短冊状に切った紙を、

68枚をばらまき、これは無限を表し…。


 まあ細かい説明はいい。

要は、これが俺の知っている呪いってことだ。

足を動かなくする呪いと壁を作って、そっちに行きづらくする呪いだ。

 

 だがしかし、弱点もある。

不幸になるのとは別に、紙をばらまいた場合はその範囲外に

術者も死ぬほど行きたくなくなる。


 こんなの初めて使うが、亀の折り紙を解き、自分の名前を、

口を噛んで出した血で書く。もちろんただ名前を書くだけじゃない。

特殊な文字だ、基本呪いってのはこの文字を使う、何の文字かは知らないが。


 まぁ歴史など何でもいいのだ。

ドン引きして言葉を失っている斉藤先生に、それをペタッと張る。

 これでおまえは形式上は俺だ。


 がんばってくれ。


 俺は逃げ出した。


「ふふ、邪魔をするんですか? 庇うんですね? それでは、」


 俺はもう階段を上がろうとしていて、後ろを振り返ってなどいないので、

変な誤解をされたあげく、

鎌でめった刺しされようとしている先生など見てはいない。


 あの人でよかった。

確か超再生するんだろ?

 それにしても新しい母さんは容赦ないな。

病んでれってやつか? 違うか。



「こら待て、黒独! お母さんもやめてください。

痛い痛い痛い。なぜかあいつを追いたくない。なんでなんだー。」



 俺が言ってもあれかもしれないが大変だな、斉藤先生。














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