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最弱の英雄伝   作者: かぼちゃの骸
プロローグ
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プロローグ

 いきなりだが少し昔話をしようか。

 ここ数十年のことなんだが宇宙人が飛来してきた。

 いや待って閉じないで、私だって意味わかんないって、解っている。だけど降ってきたんならしょうがないじゃないか。

 そして宇宙人の飛来は地球人の本来の力を開花させた。


 魔法使いに超能力者、忍者に騎士に狼男にバンパイアになる人間が続々と現れた。


 宇宙人も度肝を抜かれただろう。

 私だってそうだ。

 生存本能がトリガーだったのかもしれない。

 宇宙人に襲われた時、わたしの剣が地面から生えてきて、気付けば宇宙人を一人残らず撃退していた。

 他のところもだいたいそんな感じだったらしく、地球は危機から免れた。

 今では約8割の人間が能力者だ。

 そして私の能力は騎士という名前を付けられた。


 これによって人類は持つ力がそのまま序列になった。一般階級である私はこの騎士の力によって王族に準ずる身分となり、能力が運悪く発現しなかったものは差別の対象となったようだ。

 王族なんてものがあったのかと驚いたが、それもそのはず、新しく、しかも私のような人のために作られた身分制度だった。

 制服に着替え終わると、ノックの音が二回鳴る。

 ちゃんと習ったはずだが、ノックの音二回がどんな意味を持つのかなんて覚えていない。

「お嬢様、そろそろ学園に向かう時間でございます」

 私は少しだけ練習した声色で、メイドさん相手に緊張しないように答える。

「うむ、遅れてはいけないな、さっそく登校しよう」

 なかなか王族っぽいのではないか、満足して振り返ると、メイドさんはもう部屋に入ってきていた。

「ちっ成金が」

「今舌打ちしなかった? したよね?」

「いいえ」

 もう王族っぽい声色の鍍金がはがれて、普通に突っ込んでしまった。私偉いんじゃなかったっけ。

 ちなみに彼女は国から支給されたメイドさんだ。メイドって支給されるものなのかと、常識がゲシュタルト崩壊しそうになった。


 ちなみにこれも、王族に準する身分に箔を付けようと言う国の方針らしい。

 

 それにしても私の世話をしてくれるのはいいんだが、もう少し笑ったりしてもいいんじゃないか? と思う。

 笑った所なんて見たことないし、愛想がなさ過ぎて、つい敬語で接っしてしまいそうになるほどだ。


 でもたしか彼女も、なんかすごい能力者だと聞いている。 

 なんだか忘れてしまったが確か紹介の時の資料に書いてあったはずだ。

 それに、お母さんがべた褒めしていた。


「私、お嬢様と比べると非常に劣る能力ですがケルベロス憑き、獣化でございます。」

 この人思考読みの能力じゃないのだろうか。私がちょうど知りたかったことを何も言ってないのに答えてくれた。

 なんか怖い。

 そしてなるほど、うちのお母さんは犬が大好きだった。

 だから雇ったのかもしれないな。


 彼女に犬耳が生えているところを想像した。

 これはやばい、顔がにやけてしまって直らなくなってしまいそうだ。

 顔をこっそり揉んでいると、なぜか、メイドさんがすごい形相でこちらを睨んでいた。

 やっぱり思考を読み取れるのではないのだろうか。

「なにか? なんでもお申し付けください」

 お手って言ってみようかと思ったけれどやめる。



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